8月5日(日)放送
“屍の街”からの叫び 〜被爆作家 大田洋子と戦後〜

写真左:大田洋子
写真右:大田洋子の作品を朗読する根岸季衣(女優)

人類史上初めて原爆を描いた作家といわれる大田洋子(1903〜1963)。近年取り上げられることが少なかった、いわば“忘れられた”作家だ。被爆とその後の自身の体験を、まさにその瞬間に、リアルに描いた数々の作品が今再び注目されている。

被爆の年に書き上げた最初の作品「屍の街」は、被爆後の想像を絶する状況をルポ、「自分も死ぬことを覚悟し」「作家の責任として」書いたという。その後、占領軍の報道規制の影響による“出版差し止め”、被爆体験を見つめ続けることの辛さ、戦争が絶えないことへの苛立ち、自らの死への恐怖、そして、「もう原爆はいい」と作品を受け入れようとしない「世間の人々」の目などが、大田を精神的に追い詰める。

それでも洋子は、「あの日の記憶」と「その後の被爆者の姿」を見つめ続けた。被爆の記憶にさいなまれ、心の病に陥った自分自身の姿をえがいた「半人間」(昭和29年)、「原爆スラム」の住民の悲惨な暮らしぶりを描いた「夕凪の街と人と」(昭和30年)などを発表し続けた。

原爆に翻弄(ほんろう)された作家、大田洋子は、原爆と向き合うことで、何を感じ何を訴えたかったのか、書き残した作品と関係者の証言を通して、その人生をみつめる。

【朗読】根岸季衣(女優)

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