7月1日(日)放送
言葉で奏でる音楽〜吉田秀和の軌跡〜
 

写真:吉田秀和さん

「快速で走る自動車の中で、木立や野草まで見逃さない優れたカメラのよう」。これはカラヤン指揮、ベルリン・フィルの演奏を例えた吉田秀和さんの音楽批評である。誰もが一度聞いたら忘れられない特徴的な言葉で、音楽や演奏を表現する吉田さん。それまで単に演奏の巧拙を述べるだけだった音楽評論のあり方を一変させ、多くの熱心な読者を獲得した。2006年秋には、音楽界から史上3人目となる文化勲章を受章した。

吉田秀和さんは、今年94歳。戦後まもなく活動をスタート、日本における本格的な音楽評論の道を独力で切り開きながら、60年以上にわたって走り続けてきた。グールドやアルゲリッチなど、多くの演奏家を世に知らしめただけでなく、評論を文学に高めたとされる独自の文体は、若手の作家や評論家にも多大な影響を与えている。小澤征爾や中村紘子を育てるなど、教育や現代音楽の普及に力を注ぎ、今日の音楽界の礎を築いた功績も計り知れない。吉田さんの人生の足跡をたどることは、日本人と西洋音楽との関わりの歴史を紐解くことでもあるのだ。

これまで言葉の力を信じて語り続けてきた音楽評論の巨星が、音楽との出会いから、未来へのメッセージまでを、存分に語る。

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