江戸から東京へ。それは、水運都市・江戸から、陸運都市・東京への脱却だった。しかし、東京を江戸から理想の近代都市へと改造するプランは明治期からことごとく失敗。大正期になっても路面電車は殺人的ラッシュ、舗装道路はほとんどなく、晴れの日は黄塵(じん)が舞い、雨が降ればドジョウが住むと皮肉られたほど東京という都市は病んでいた。そんな時代に、医学を学んだ都市改革者・後藤新平が、“生物学の法則”を提唱し、世界最高の都市・東京をつくろうと考えた。しかし、その構想の壮大さから、大風呂敷と揶揄(やゆ)され、官僚たちとの摩擦を生み、政敵も数多くつくる…。しかし、100年先を見据えていたという後藤の構想こそが後の関東大震災で壊滅的打撃を受けた東京を復興する原動力となった。
番組では、都市計画を専門にする西村幸夫(東大教授)をナビゲーターに、後藤新平生誕150年の2007年、現存するゆかりの建造物を訪ねながら、後藤新平のつくろうとした理想都市・東京の全ぼうを明らかにする。そこから、都市の未来を考える。
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