3月3日(土)放送
我が麗しのアンコール 〜石澤良昭・遺跡復活にかけた27年〜

写真左:石澤良昭さん
写真右:アンコールワット

カンボジア・アンコール遺跡群。19世紀、植民者のフランス人が「発見」し、その巨大さ、繊細さ、華麗さによって、世界に紹介されたアジアの至宝といえる遺跡群だ。長年の戦乱を経てようやく平和が訪れ、荒廃していた遺跡も徐々に復旧しつつある今、アンコール遺跡へ訪れる日本人観光客が、飛躍的に増えている。しかし、その背景には、苦悩のカンボジア現代史と27年に及ぶ日本の復旧調査活動が刻まれている。

国際調査団をつくり牽引してきた上智大学学長石澤良昭さん(69)。初めて石澤さんがアンコールワットに出会ったのは1961年、大学仏文科在学中のこと。その日以来、石澤さんの人生はアンコール遺跡とともにあった。それは単に研究者として成果を勝ち取るためだけの道のりではない。 ポル・ポト政権(1975〜79)さらには長く続いたカンボジアの内戦は、ただ研究の場を奪っただけでなく、多くの仲間たちの命も奪い、遺跡を荒廃の中に埋もれさせた。自らの愛したアンコールの遺跡を守り、仲間をもう一度育て上げることが、石澤さんには「義務」、志半ばで逝った仲間への「鎮魂」の仕事となる。日本の金と技術を持ち込めば形としての遺跡の修復は出来る。でも、それでは文化が守れたとは言えない。遠回りでも、カンボジア人自身が遺跡を、みずからの歴史と文化を、誇り、守れるようにしなければならない・・・そんな長い道のりを石澤さんは歩んできた。

番組はアンコールワット遺跡での27年に及ぶ活動記録映像から、魅力あふれるアンコール遺跡の謎の解明と共に他国の文化への本当の貢献とは何かを模索した長い軌跡を描いていく。

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