2月24日(土)放送
“生”のかたち 〜難病患者たちのメッセージ〜

写真左:呼吸器をつけて在宅生活を送るALS患者
写真中:手記を寄せた男性患者
写真右:積極的に外に出て活動する患者たち

「ALS」──全身の筋肉が動かなくなる難病で、発症後数年で呼吸する力が衰えるため、患者は、気管切開し、人工呼吸器をつけるか否か=生きるか、死ぬか の選択を迫られる。かつては死に至る病として、告知すらさけられてきた病だったが、ポータブルの人工呼吸機器等の普及、そして四年前に学会で治療の「ALSガイドライン」がまとめられると、呼吸器を装着し、積極的に社会に出て活動する人々が増えてきた。現在日本では7000人といわれる患者のうち、三割が人工呼吸器の装着を選択する。これは世界的にも非常に高い数字である。

そんな中、あるALS患者の呼びかけによって、全国の患者や家族の「人工呼吸器」をめぐる体験記を集めた、「生きる力」が、2006年11月下旬に出版されることになった。そこには、一度は生きることに絶望しながらも、呼吸器によって取り戻した「生への希望」。家族のためにあえて呼吸器装着を拒んで生き ることを選択した「苦渋の決断」。そして、「生と死」の決断を見守る家族の「葛藤」が克明に記されている。

みずからの「生と死の選択」に直面するALSの患者とその家族。昨今、終末医療を巡るさまざまな事件から、「尊厳死」や「死ぬ権利」の問題が議論される中、尊厳ある「生」を選択した人々の告白を読み解くことで、生きることの意味を改めて問う。

<手記朗読> 萩原聖人さん、木村多江さん

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