2006年夏、俳優・菅原文太(72)は北西太平洋に向けて出航する調査捕鯨船に乗り込む決意をした。永きに渡り日本人と共に生きてきたクジラが今どんな状況にあるのか、その姿を見たいと思った。利益を追わず自然と人が持続的に生きていく日本を築けないか。菅原はそれを終生のテーマに据え、全国各地を見つめ歩く日々を送っている。
そうした中で、利益を追ったがためにクジラと日本人の間にあまりにも深い溝が出来たことを知る。江戸時代に沿岸のクジラを珍重しクジラ文化まで形成していた日本人が、やがて世界各国と利益を争い、はるか南氷洋で大量にクジラを捕り、クジラを絶滅の危機に追いやった事実だ。
海に囲まれ海と共に生きるしかない日本人。しかし、クジラに限らず多くの海の資源を利益追求の為に犠牲にしてきた。それが総じて、漁獲量の減少、地域の疲弊へとつながっている。今すべきは、海の生態系を守りともに生きる秩序を築くことではないか。
海の生態系の現状を調査捕鯨の最前線で取材すると共に、利益を追い求めない新しい取り組みを始める人々を訪ね、海と日本人の関わりを見つめ直す。
(自然とともに生きる人々を日本各地に訪ねた昨年6月放送「長ぐつの旅」の第2弾) |