10月21日(土)放送
第1部 許されなかった帰還 〜福岡 陸軍振武寮 〜
写真左:特攻隊員の集合写真
写真中:振武寮に入った特攻隊員
写真右:特攻隊員たちが隔離収容された振武寮の全景

福岡市内の閑静な住宅街の一画にある九州電力体育館。九州のスポーツの殿堂として数々の名勝負が繰り広げられたその地に、かつて旧日本軍の特攻作戦に参加した隊員を収容した施設があった。

振武寮。それは帰還してはならなかった隊員の精神を鍛え直す施設だったといわれる。しかし、公式の資料は皆無に近く、帰還した隊員が表に出ることもなかったため、全ぼうはほとんど知られていない。

筑豊・田川に住み民衆の立場からルポルタージュを発表してきた作家、林えいだい(72)は、特攻隊の編成参謀で、振武寮を作った少佐に面会し、それまで外に出されなかった名簿を入手した。そして、この寮に入れられていた帰還特攻兵を見つけ出して取材を重ね、寮内で何が行われていたか、その実態を明らかにしようとしてきた。肺を患い、体調不良に悩まされている林はこの夏、最後の関係者インタビューをして7年間の取材の成果を一冊の本にまとめようとしている。

「いつ死んでもおかしくない。でもこの振武寮だけはやりとげて、あの世に行きたい」。これまで歴史の表舞台に出てこなかった振武寮。その実態を、林えいだいの執念とともに描く。

第2部 この村で生きる 〜宮崎 椎葉村 台風被害から1年〜
写真左:壊れた道を応急で直す人々
写真中:椎葉村の中心部(上椎葉地区)の台風による土砂崩れ
写真右:1年の平穏を祈る神楽

九州山地の深い山々に抱かれた宮崎県椎葉村。村の人々は、夜神楽や焼畑など、独特の山村文化を大切に守り続けてきた。この村が、昨年9月に九州を襲った台風14号で壊滅的な被害を受けた。村内の300か所以上で土砂崩れが発生し、3人が死亡。村が完全に元どおりになるまでには、3年はかかると言われている。

急しゅんな山々に閉ざされた椎葉では、人々は互いに支え合って暮らしてきた。地域社会のためなら、村民が無償で用地を提供し、工事にも参加する。台風14号による被害でも、国道や県道などの大規模な復旧工事は土木会社が行うが、村道や水道などは住民自らが修復作業にあたっている。

番組では、台風による逆境に負けずに、復興にむけてたくましく生きる村の人々の1年を描く。

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