7月22日(土)放送
ある人間(アイヌ)からの問いかけ 〜萱野茂のメッセージ〜
写真:今年5月に79歳の生涯を閉じた萱野茂(かやの・しげる)さんは生前、アイヌ独自の言葉や文化を守り、アイヌ民族の声を日本人に届けようと活動してきた。

 北海道平取町(びらとりちょう)出身のアイヌ文化伝承者・萱野茂さんが今年5月、79年の生涯を閉じました。 明治政府は、アイヌ民族に対して主食のサケ漁を禁じ日本語教育を強制するなど固有の生活・文化を否定する政策をとりました。そうした中、萱野さんは祖母から昔話などを通じてアイヌ語を受け継ぎます。そして「言葉こそ民族の証」という信念のもと、多くの古老たちを訪ねてアイヌ語を録音し、和訳。自ら辞書を作り、教室を開くなど、言葉を残し伝えていく取り組みを続けてきました。

 さらに、地元に建設が進んでいたダムをめぐる訴訟や、国会議員として「アイヌ文化振興法」成立をめざす活動の中で、「先住民族」としての存在と権利を日本の政府や社会に対して認めさせる闘いの先頭に立ちました。

 NHKが長年記録してきた映像で萱野さんの足跡をふりかえるとともに、彼がのこしたものを受け継ごうとする人々の姿を通して、
ひとりのアイヌ(アイヌ語で『人間』を意味する)として萱野茂さんが私たちに問いかけてきたメッセージをみつめます。

Copyright (C) NHK(Japan Broadcasting Corporation) , ALL rights reserved. 無断転載・転用を禁じます。