6月10日(土)放送
中国映画を支えた日本人 〜“満映”映画人 秘められた戦後〜
写真左:東北電影に参加した日本人たち
写真右:満映(満州映画協会)で編集に携わっていた岸 富美子さん

 中国で映画が誕生してから100年目の去年12月、戦後の中国映画の基礎を築いた日本映画人たちの存在が公にされた。彼らは、かつて東洋一の規模と最先端の映画技術を誇っていた国策会社、満映(満州映画協会)所属の映画人たちであった。

 敗戦とともに中国共産党の支配下に入った満映では、およそ200名の映画人が、新しく設立された東北電影制片廠に参加する。中国側とのさまざまな対立や逆境を乗り越え、映画人たちは蓄積されたノウハウを「人民映画」の制作に注ぎ込む。その協力関係は1953年まで続き、制作された映画は30本に上ったが、中国社会においては長い間その事実が公にされることはなかった。当時、安芙梅の名前でほとんどの作品を編集した岸富美子(85歳)さんは去年、久しぶりに中国の土を踏んだ。映画100年を記念して建てられた「中国電影博物館」のオープニング式典にただひとり日本人として招待されたのだ。自分たちがやったことは戦後の中国社会と映画界にどんな意味を持ったのか。岸さんは、交流のあった中国の映画人や、東北電影ゆかりの地を訪ね、対話を重ねた。

 番組では、岸さんの中国訪問や、生き残っている日中双方の映画人の証言、日本未公開の作品(35ミリからハイビジョンに変換)、東北電影の活動を記録した未公開フィルムなどを駆使しながら、数奇な運命をたどった映画人たちの戦後のあゆみを掘り起こす。

 
Copyright (C) NHK(Japan Broadcasting Corporation) , ALL rights reserved. 無断転載・転用を禁じます。