2002年12月、構造改革特別区域法が施行されて以来、それを活用した学校の設立が相次いでいる。特に注目を浴びているのが、株式会社やNPOが経営母体となる学校の誕生である。「校地・校舎を自己所有しなくても、学校を設立できる」ため、新規参入が比較的容易になったのである。
株式会社立については、現在までに11社が学校を作り、去年10月には、互いの連携を図る学校設置会社連盟も誕生した。「財政面での安定性に疑問がある」、「学校の序列化が進み、格差が広がっていく」といった批判もある中、難関校進学専門、通信教育重視など、規制の枠組みにはとらわれないユニークな学校作りにより、従来の教育には合わなかった子どもたちの受け皿として確実に機能し始めている。
一方、NPO法人立の学校は現在までゼロ。私学助成金が全く受けられない状況では、資金調達方法が多様な株式会社と異なり、財政的に成立しにくいためだ。結果、NPOは学校法人に姿を変えることで私学助成を得て、現在3校が開校。しかし、助成金を得ても、いずれの学校も財政的に厳しく、NPO時代にはなかったさまざまな問題を抱える。特区制度を利用した「新しい」学校の現状を取材し、その可能性と課題を探る。 |