1月7日(土)放送
核燃の村 苦悩と選択の記録〜青森県六ヶ所村
写真左:2月に最終稼働試験が開始される予定の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)
写真右:六ケ所村に運び込まれる、強い放射性を帯びた使用済み核燃料

 使用済み核燃料再処理工場など「核燃料サイクル」の立地で大きな変ぼうを遂げた青森県六ケ所村。かつての「過疎と出稼ぎの村」は、いま財政力、住民の平均所得ともに青森県一という豊かな村に生まれ変わった。人口は横ばいだが、就職先が増え、村内には若い人の姿が目立つ。その一方で、開発の是非をめぐって激しい政争を繰り返してきた村の歴史は、いまなお村民の胸に複雑な思いを宿している。貧しいなかでも互いに助け合って暮らしてきた村の人間関係も変わった。

 六ヶ所村は当初「大規模石油コンビナート」として開発されるはずだった。1969年、国の新全国総合開発計画に基づく「むつ小川原開発」である。367戸1811人の立ち退きを含む計画の受け入れをめぐって村は揺れた。村民をまっぷたつに割った激しい村長選挙が行われ、村は開発推進を選択した。しかし、7900ヘクタールに及ぶ土地買収が終ったところで石油ショックに見舞われ、計画は頓挫する。土地を売って高額の補償金を手にしたものの仕事がない。そして、広大な空き地となった開発区域にやってきたのは、全国どこにも引き受け手のなかった「核燃料サイクル」だった。村では再び対立が始まる…。

 国や県、大企業によって巨大開発計画が推進されるとき、その舞台となる過疎の村ではいったい何が起こっていったのか?…NHKに残された過去の映像記録を駆使するとともに、新たな証言によって、人々の思いに迫る。
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