10月15日(土)放送
未来へのキックオフ 〜ロボカップ2005〜

 21世紀、世界はかつてないロボットの世紀を歩んでいく。その主役と期待される、自分で判断し他のロボットと共同作業が可能な新世代機種が、この夏大阪で開かれたロボットのサッカー世界大会「ロボカップ2005」に集結した。

 “2050年のサッカーW杯優勝チームにロボットで勝利”という夢を掲げ9年前に始まった「ロボカップ」。その過程で様々な科学技術を統合・蓄積し、介護やレスキューなど実用ロボット開発につなげる目的がある。サッカーに必要な敵と味方の識別=情報処理、走る・ける・スローインといった運動機能は実用タイプのロボットに欠かせない技術だ。さらに、チームプレー=ロボット同士のコミュニケーション能力までが求められる。

 最大の見所は、今回初めて2対2のゲームが行われる人型ロボットの対戦。最近まで2足歩行すら夢物語と言われた人間型ロボットは、最先端技術の結晶である。日本の有力チームは、前回リスボン大会王者の「Team Osaka」。チームには、大阪大学の研究者、親しみやすい外観を設計するデザイナー、精密部品の製作能力を持つ東大阪の町工場が参加、05年型は特殊カメラを使った「360度の視界」に加え、より素早く滑らかな動きを見せる。

 また、5対5で行われる車輪付きロボット(中型リーグ)の対戦では、慶應大学チームがセットプレーを得意とするチームを編成。FWロボは、相手ロボがいないスペースを瞬時に判断し走り込む。この技術は、実社会において障害物を回避する能力につながる。 

 これまで、産業用ロボットやイベント会場案内ロボなど、ロボットは単機能・単体で与えられた役割を果たしていた。ロボカップではサッカーというチーム競技を通して、自分で考える複数のロボットが共同作業を行う。こうしたロボットの複数同時運用は、レスキュー現場への大量投入という形ですぐにも応用が期待される。

 番組では、8月放送のHV特集の素材を挿入VTRとして再構成、研究者・開発者の対談を交え、ロボット先端技術を生活支援などにどう生かすか、また、運用のルール作りをどうするかなど、共同作業型ロボットが現れる未来社会の展望と課題を伝える。

<出演>
浅田稔さん (大阪大学教授 ロボカップ国際委員会プレジデント・ロボカップ提唱者)
島朗さん (将棋棋士 八段)
松原仁さん (公立はこだて未来大学教授 ロボット学者)
藤井飛光さん (慶應義塾大学アイゲン ロボカップ2005 中型リーグ優勝)
今川拓郎さん (チーム・オオサカ ロボカップ2005 ヒューマノイドリーグ優勝)

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