8月13日(土)放送
零戦ニ欠陥アリ 〜設計者たちの記録〜

ゼロ戦
 日本海軍最強の戦闘機として、無敵とまで形容され、伝説のベールに包まれてきた「ゼロ戦」(零式艦上戦闘機)。その実像に迫る機密資料が、一昨年亡くなった三菱重工の元設計副主任・曽根嘉年の遺品の中に残されていた。

 その機密資料とは、焼却命令に反して曽根が残していた業務日誌や膨大な設計メモ、そして海軍との交渉議事録などファイル17冊。そこには、防御力の欠如、急降下能力の不足、大量生産に不向きな複雑な構造など、“名機”とうたわれたゼロ戦の隠された欠陥が指摘されていた。しかし、海軍上層部は、こうした事実を隠ぺいし、積極的に改良することはなかった。

 曽根らゼロ戦技術者たちが特に問題にしたのは、真珠湾攻撃で名声を得たゼロ戦21型を改良して登場した後継機32型。戦局打開の切り札として前線に投入された新型ゼロ戦は、燃料タンクの容量が満載状態で75リットルも少なく、航続距離が逆に1000キロも短くなっていた。この欠陥が昭和17年、ガダルカナルの攻防戦で、大きな問題を生む。ラバウルの海軍基地からガダルカナルまで32型が飛ぶことができず、従来の21型を投入せざるを得なかったのである。しかも、前線から「欠陥機」とする報告を受けながら、海軍は有効な対策を講じなかった。欠陥を無視し戦局を甘く見積もっていた海軍の組織的問題が見え隠れする。

 戦後60年を迎えた今年、新たに発見された史料を航空力学の専門家・鈴木真二東大教授、作家の柳田邦男さんが読み解く。パールハーバーから特攻まで、太平洋戦争での”ゼロ戦”の盛衰を通して、「失敗」にしんしに学ばなかった日本の姿を見つめる。
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