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ロシアでは日露戦争はタブーであった。今年の日露戦争100周年を機に、多くの資料がロシア側で公開され始めた。
数十万人の犠牲をだしたロシア帝国軍の兵士たちは、遠く祖国を離れた激しい戦禍の中から多くの手紙を家族に送っていた。そこには苦しい戦いの記録、つのる望郷の思い、戦争への疑問・・・などが赤裸々に綴られている。当時、ロマノフ王朝の専制支配は揺らぎ、レーニンらの革命運動が蠢動(しゅんどう)していた。皇帝ニコライ2世は、日本との勝利によって帝国の延命を目指していた。しかし日露戦争での敗北を契機に兵士の反乱が起こり、ロシア帝国崩壊につながる。
その過程を明らかにするさまざまな資料が発掘されたのである。
日本海海戦で戦死した、バルチック艦隊のウラジーミルスキー少佐が、死の前日まで家族にあてて送っていた手紙。帝政ロシア陸軍の従軍司祭スレブリャンスキーの詳細な戦場日記。さらに、皇帝ニコライの日記や、当時ジュネーブに亡命していたレーニンが機関誌を通じて兵士に呼びかけた数々の原稿など、公開された資料をもとに、日露戦争がロシア革命へと転化していった様子を描いていく。さらに、公開されたロシア側の多くの写真やフィルムを使いながら、日露戦争の実像を明らかにする。 |
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