11月27日(土)放送
うまいコメが食べたい
 秋は新米の季節。
 作家・井上ひさしさんは、数年前から全国の農家を訪ね、新しいコメ作りを取材してきた。

 牛丼を変えたコメ、と言われる北海道の「きらら397」。”ツユだく”を可能にしたこのコメは、「ねばりが少なく、かつ、おいしくて、炊き上がりが早い」。“うまいコメの不毛地帯”と言われた北海道で、悲願の売れるコメを作るため、上川地方の農民たちと研究者の血のにじむような苦闘があった。含有するタンパク質を上げ(“粘り”を少なくする)、アミラーゼを下げる(味が良くなる)。整粒を徹底する(ムラなく、早く炊きあがる)――“不可能”と言われる条件に挑戦した結果だった。
 「このコメなくして牛丼は不可能だった」――大手牛丼チェーン・安部修二社長。牛丼の再開は近い、と言われるこの秋、新米が世に出ていく。

 「無洗米」の生みの親、秋田県大潟村。八郎潟干拓地に入植した開拓農家は、「減反」との長い闘いの末、消費者直結、環境重視型のコメ作りに行き当たる。消費者の意見に耳を傾け、改良を繰り返した末にできた無洗米。今、全国に急速に広りつつある。

 大潟村の農民たちは今、病院や患者たちの要望に応えて、「タンパク質の極めて少ない」コメを開発し出荷している。消費者とのつきあいの中で、コメ作りを改良し、工夫する大潟村の農民たち。さらには、オリンピック選手が愛食するコメを作る農家の丹精込めた米作り。コメ自由化の中で、元気なコメ作りの現場を訪ねる。
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