7月3日(土)放送
報告 ロボットカー開発 〜アメリカ新技術誕生の現場〜
 今年3月13日にアメリカ・モハベ砂漠で、史上初の人工知能ロボット・カーレースの火ぶたが切られた。そのレースの名は「グランド・チャレンジ=大いなる挑戦」。

 主催者はアメリカの軍事技術をけん引し、その軍事的優位の源泉となってきた国防総省のDARPA・国防高等研究計画局。目的は、地上戦を担えるロボットを生み出すことだ。

 NHKは、レースに参加した各チームのロボット制作の過程を取材し、アメリカにおける「最先端技術が生まれる現場」がどのようなものであるかを描いた。今回は国防総省がレースを公開のもとで行ったため取材できたが、「軍・産・学」が固く手を結んだこうした現場は通常、秘密のベールに包まれ、決して取材することができないものである。

 ロボットカーの製作では、どうやって通るべき道を見いだすかというソフトウェア技術、どういうセンサーを使って周囲の環境を感知するかというセンサー技術、デコボコ道が続くオフロードをいかに安定して走るかというハード技術など、様々な分野でそれまでになかった独創的な技術を開発することが求められた。

 番組では、「自分で考えて走るロボットカー」という未知の課題に、それぞれのチームがどのようなアプローチで、どのようなドラマの中からひとつのロボットカーを作り上げていったかを描いてゆく。ボーイング、インテルなどの巨大企業と組んだカーネギーメロン大学、グラマンおよびNASAとタッグを組んだカリフォルニア工科大学など、その現場では最高峰の軍事・宇宙技術を持つ技術者と、二十歳過ぎの若い学生が共に働きながら、技術開発と技術の継承が同時に行われている。

 こうした現場から、独創的な技術や、答えのない問題にいかに取り組んでゆくかを見てゆく。


出演: 畑村洋太郎(工学院大学教授・「失敗学」の提唱者)
  キャスター 藤井克典 アナウンサー
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