4月10日(土)放送
生きてこそ人生幸あり 〜再起をかける元社長たち〜
 過去5年、年間の自殺者が3万人の大台を超え続けている。中でも中高年男性の自殺者が増え続けている。企業の倒産やリストラなど経済的理由で自ら命を絶つ人が後を絶たない。
 
 倒産に直面し、絶望のふちにある社長たちの自殺をくい止めようと26年間に渡り、活動を続けてきたのが東京上野に事務所をかまえる「八起会(やおきかい)」である。会長の野口誠一さん(73)も27年前、自身が経営するがん具製造会社を倒産させた元社長である。
 
 八起会運営の目標は「自殺防止」と「心の再起」。26年間これまでに八起会に相談した元社長たちは5万人を越えている。
 
 八起会に7年前、相談に訪れた中西敏夫さん(52)は神戸で水産会社を経営していたが、父親の病死に伴い、会社を継いだ兄がとばくで10億近い借金を作り、失脚。会社を継いだ中西さんは借金返済に追われ自殺未遂をするも失敗。その後、妻の支えで現在、千葉の弁当屋で再起途中。町田で不動産会社を経営する関根模房さん(63)は事業を拡大したことで会社を倒産、生命保険をあてに自殺を考えるも、妻が保険を全額解約し、自殺を踏みとどまる。長崎出身の梅崎猛彦さん(72)は自殺未遂後、48才から職人の世界に飛び込み、見事再起を果たす。
 
 八起会の野口会長は言う。「お金はないけれど、せめて心の再起をしよう。幸せという財産をつかむことが大切だ」「八起会会員の100人の100人が生きててよかったと言う」苦境を乗り越えた者のみが得られる幸福とは何か。
 
 番組は自殺未遂にまで追い込まれた元社長たちの再起の現場をドキュメント、絶望のふちにある人に生きる勇気を与えたい。
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