2月14日(土)放送
第1部 武装解除〜


 
 9.11後、最初に戦場となったアフガニスタン。ここで今、国際プロジェクト“武装解除”が始まった。戦乱が続いた大地を平和に変える“武装解除”。来年予定の総選挙の成否を占う重要な試金石である。

 この武装解除の先頭に一人の日本人が立っている。伊勢崎賢治氏(45歳)。「武装解除・動員解除・社会復帰(DDR)」のリーダーとして、特別チームを率いる。DDRは「軍事力による強制なしに」、「丸腰の文民が」、「説得によって」武装解除にあたるという画期的な試み。伊勢崎氏はこれまで、内戦終結後のシェラレオネ武装解除の責任者、東ティモール暫定統治機構の文民行政官などを歴任。紛争の現場を数多く歩いてきた。

 しかし、伊勢崎氏の前途には数々の障害が立ちふさがる。軍閥同士の小競り合い、相次ぐ武器の密輸、復帰軍人に職業訓練を施そうにも日本やアメリカの協力がなかなか得られない。「来年6月総選挙まで」と期限を切られた武装解除プログラムは正念場を迎えている。「丸腰部隊」DDRは、戦じんくすぶるアフガンで、どんな説得をし、対話をしていくのか。

 中東復興の先行モデルとも言うべき、アフガニスタンの現実を、伊勢崎賢治氏へのインタビューを通じて見つめる。
第2部 「作る」と「使う」の近距離恋愛〜デザインを通じての日本産業再生論〜


川崎和男


内橋克人
 11月下旬、「グローバル化時代の日本産業再生」を1つのテーマとして開かれた「京都会議」(文化庁・京都大学・京都府など主催)。その中で注目すべき対談が行われた。工業デザイナーとして第一線を走る川崎和男氏(グッドデザイン賞選考委員長)と経済評論家・内橋克人氏(「匠の時代」著者)の対談である。グローバル化の中で、日本のモノ作りの可能性はあるのかどうか。
 
 川崎氏が唱えるのは「デザインの復権」。「作り手側の論理」による「高付加価値商品」ではなく、「使い手側の論理」による「人にやさしい商品」。そのためのデザインが川崎氏のフィールドである。「人にとって最も機能的なモノは、最も美しい」という信念から、車いすのデザイン・人工心臓の開発を手がけてきた。最近では、地域社会がはぐくんできた”地場産業”に着目し、越前の包丁・紀州のたわし、などに”デザインの息吹”を吹き込む事で再生させるという、実績も積み上げている。こだわるのは、「”使い手の顔”が見えるモノ作り」である。
 
 これを高く評価するのが内橋克人氏。「持続可能な社会」を唱え、各地の取り組みを丹念に取材してきた内橋氏は、「作る」と「使う」の緊密な連携、相互影響が、グローバル化の波の中での、モノ作りの復権、地域の再生につながる、と主張する。
番組では、2人によって深められる議論を通じて、日本産業再生のヒントを探っていく。

 【出演者】川崎和男(工業デザイナー)/内橋克人(経済評論家)

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