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末期ガンで余命3か月と告げられた小学校教師が、やせ衰え髪も抜け落ちてゆく自分の姿を最期まで子どもたちに見せることで、命の重みを伝えようとしている。神奈川県茅ヶ崎市浜之郷小学校で校長を務める大瀬敏昭さん(57)は、大腸や腎臓へ転移したガンと在宅治療で闘いながら、みずからの体を教材にして「命」をテーマにした授業を行っている。「先生はガンという病気でそれほど長く生きられないんだよ」。20キロもやせた体、点滴の道具を見せながら語る穏やかな言葉に子どもたちは耳を澄ませ、命に限りのあること、だからこそ大切なことを必死になって受け止めようとしている。
大瀬さんのガンが発覚したのは5年前。新設の浜之郷小の初代校長に就任した直後だった。
順風満帆な教師人生から突然ならくの底にたたきつけられた。しかし人生のはかなさが身にしみると、これまで見えなかった子どもたち一人一人の傷ついた心に寄り添えるようになっていた。
「校長先生、ガンなんて言わないでー。悲しくなり、お母さんのことを思い出してしまいました。けれども、人はみんな命のバトンを持っているんですね」。授業の後に大瀬さんへの手紙にこうつづったのは5年生の女子児童。母親を交通事故で亡くした彼女は授業で泣き出してしまった。大瀬さんは校長という立場を越え、さまざまな家庭事情を抱える子供たちと命の意味を問いながら1対1の交流を続けている。
番組ではこの夏、病と闘いながら「本当に教えるべきこと」「あるべき学校の姿」を問い詰め、ラストメッセージを込めた新たな命の授業を作りあげる大瀬さんの姿を通し、死期を悟った人間の壮絶な生きざまを見つめる。 |
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