8月23日(土)放送
古代オリエントに魅せられて
 古くから東西交通の要所であり、文明の衝突点でもあったトルコ・アナトリア地方。

 日本のオリエント学の代表的な研究者として知れらる三笠宮崇仁様は、1963年、86年、93年とトルコを中心に発掘調査に参加、数多くの研究を残している。中でも、カマン・カレホユック遺跡は三笠宮様にとって思い入れの深い遺跡である。1986年に開始された発掘調査では自らくわ入れ式を行い、その後も三笠宮様が名誉総裁を務める「中近東文化センター」が本格的な発掘調査を続けてきた。以来、十数年にわたるこの遺跡の調査研究において、トルコの古代史に新しい光を当てる画期的な成果をあげている。

 トルコ共和国の首都アンカラから南東100キロの所にある都市遺跡、カマン・カレホユック遺跡。この遺跡は、基部280メートル、高さ16メートルの丘で、上部からオスマントルコ時代、鉄器時代、青銅器時代の都市遺跡の層が確認されている。いわば年表のような遺跡といわれている。中でも鉄を発明したといわれるヒッタイト帝国の遺跡が今、注目を集めている。BC17世紀ごろに中央アナトリアに国を築いたヒッタイトの民は、製鉄技術をみずからのものとすることで、やがてエジプト王朝と覇権を争うまでに成長したという。このカマン・カレホユック遺跡の発掘成果によって、これまではなぞとされていたヒッタイトの実像が初めて解明されることになるかも知れない。

 中近東文化センターの活動を中心に紹介しながら、三笠宮様にオリエント学に魅せられたきっかけからこれまでの研究の思い出、十数年にわたって続けられてきたトルコでの発掘研究の内容とその成果を、最新のハイビジョン映像を交えながら、語っていただく。

スタジオ出演:三笠宮崇仁様
       大村幸弘(中近東文化センター主任研究員)
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