8月16日(土) 放送
さまよえる戦争画 〜従軍画家と遺族たちの証言〜
 藤田嗣治、小磯良平、宮本三郎ら日本の美術史に残る画家たちが、戦意高揚のため軍の依頼で描いた「戦争記録画」。現在、国立近代美術館に保管されている「戦争記録画」は、あわせて153点。戦後、一度も全面公開された事がなく、公開を巡っては、プロパガンダなのかそれとも芸術作品なのか、戦争責任の問題は絵画にも及ぶのか、などさまざまな議論を呼んできた。いったい、「戦争記録画」はどの様にして描かれたのか。今日どんな意味を持つのか。これまで未展示の物を含め、多くの「戦争記録画」を紹介しながら、それを描いた画家やその遺族の思いを聞く。

 終戦から半世紀以上を経た今、「戦争記録画」を描いた画家たちはほとんど故人となった。「戦争記録画」の責任を感じた小川原 脩は、戦後、北海道の故郷にこもって絵を描き続けた。今夏、亡くなる前に、小川原はこれまで秘めてきた「戦争記録画」への思いを存分に語った。また、遺族たちの思いも複雑である。公開についての意見も、「時代の記録として直視すべき」、「近隣諸国への配慮が必要」とさまざまである。戦後、美術界で長らくタブー視されてきた「戦争記録画」の全ぼうを紹介する。
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