4月26日(土) 放送予定
72年に一度の奇祭
 今年3月末、茨城県で72年に一度という大祭礼が行われた。この祭りは851年に始まり、今回で17回目。山奥に鎮座する金砂神社のご神体「アワビ」を、千人以上の人々が行列してみこしで運び、日立市の水木浜まで往復80キロの道のりを、一週間がかりで往復する。

 これは「磯出」とよばれる神事で、神社のご神体をみこしに乗せて、浜まで担ぎ出し潮水で清めるという行事である。「神が海からやってくる」という漂着神の信仰が日本全国にあり、神が流れ着いた浜で何年かに一度、けがれを払うといわれている。金砂縁起でも神が水木浜にアワビの船でたどりついたと伝えられる。

 作家の荒俣宏さんは、この磯出神事の背景には、実際に黒潮に乗り海から渡来した人々が、農漁業の技術、天文、製鉄など高度な文化を伝えた歴史が隠されているのではないか、と仮説を立てている。「金砂」という地名も、金または金属の鉱脈がある豊かな地を意味していると推測する。実際、最近の考古学や古代史研究では、海上の道による文化の伝ぱの重要性がクローズアップされてきている。

 番組では、72年に一度の祭りのなぞを、荒俣宏さんと、大河ドラマ「徳川慶喜」に出演後、茨城の歴史に深い関心をもつようになった俳優の菅原文太さんが、現地を訪ね、読み解いていく。

出演:荒俣 宏(作家)、菅原文太(俳優)
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