2014年5月24日(土)
【再放送】2014年5月31日(土)午前0時00分
※金曜日深夜    

歴史と民族から考えるウクライナ

今年2月に暫定政権が発足して以来、緊迫した情勢が続くウクライナ。ロシア系住民が多く住む東部と、EUとの結びつきを深めたい西部の対立が、国家の分裂を招きかねないほどにエスカレート、予断を許さない状況となっている。またプーチン大統領が強行したクリミアのロシアへの編入が欧米の反発を呼び、ウクライナ問題は国際社会を巻き込んだ危機へと発展している。

ウクライナの東西はなぜ対立するのか。ロシアはなぜクリミア半島に固執するのか。今後この危機はどうなるのか。すべてはこの国がたどった複雑な「歴史」と、人々の意識の中にある「民族」をどう理解するかにかかっている。

ヨーロッパとロシアの間に挟まれたウクライナ。豊かな穀倉地帯が広がる西部は、ナチスドイツやスターリン時代のソ連に占領された経験があり独立意識が強い。ソビエト時代に大きく発展した重工業地帯がある東部は、以前からロシアとの一体化が進んでいた。軍事的要衝であると同時に温暖な気候に恵まれた保養地でもある南部のクリミア半島では、イスラムを信仰する先住民のクリミア・タタール人がスターリン時代に強制移住させられた。
東部と西部、クリミア半島、それぞれが過去の苦難の記憶を抱えながら、91年のソビエト崩壊後はウクライナという一つの国を作ってきた。しかし、EU加盟をめぐる争いをきっかけに東西の微妙なバランスが崩れ、西部では反ロシアのウクライナ民族主義が噴出、ロシアと強く結びついた東部がそれに強く反発し、クリミア半島はロシアが自国領としての編入を宣言した。

番組は、ウクライナ問題のスペシャリストをスタジオに結集、5月25日に行われる大統領選挙を前に、世界の注目を集めるウクライナ情勢を「歴史」と「民族」の二つをキーワードに読み解いていく。

キャスター:藤澤秀敏(元NHK解説委員長)

スタジオ出演
明治大学特任教授 山内昌之さん(歴史家 中東・イスラム地域研究)
京都産業大学教授 東郷和彦さん(元外務省欧亜局長 国際関係論)
国際経済研究所理事 西谷公明さん(独立後のウクライナで経済再建に尽力)
NHK解説委員 石川一洋(90年代、00年代の2度、モスクワ支局勤務)

(内容59分)

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