2014年12月13日(土)
【再放送】2014年12月20日(土)午前0時00分
※金曜日深夜    

【アンコール】辞書を編む人たち
(2014年4月26日(土)放送)

「無人島に一冊だけ本を持っていくとしたら?」
この問いに多くの人がある本を選ぶ。
辞書である。言葉だけでこの世界のすべてを表現する。自然も人の心も具体物も抽象物もあらゆる物事を言葉だけで表現する辞書は言わば小宇宙である。

番組では、辞書専門の出版社の改訂作業に半年間にわたり密着した。新しい言葉を追加し、従来の項目を改め、不要となる言葉を削除する。日々新たな言葉が生まれては消えていく時代、改訂とは、言わば辞書に新たな命を吹き込む作業である。

辞書作りの工程は地道で気の遠くなるような作業の連続である。 まず「用例採集」、言葉を集めること。編集者たちはいつもカードやメモを持ち歩き、通勤途上や食事の最中でも気になった言葉を書きとめたり、スマートフォンなどで写真に撮る。最近見逃せないのが、ネット掲示板とツイッター。日々膨大な新語が生まれる。レストランのメニューや女性誌も新語の宝庫である。

次の作業は、「見出し語選定」。用例採集した言葉の中から実際に辞書に載せる言葉を選んでいく。日々生まれる新しい言葉をどこまで載せるのか、編集者の悩みどころである。その言葉が流行に終わらず、ずっと使われ続けるか。それが採用の基準となる。

続いての作業は、「語釈書き」。選定した言葉の意味を説明する原稿書きである。語釈は辞書の命。よりわかりやすく、より簡潔に。頭をかきむしりながら何度も何度も修正を加えていく。ベテラン編集者でも七転八倒する作業である。

一冊の辞書には、作り手たちが言葉にささげた途方もない時間と情熱が潜んでいるのだ。
辞書作りを題材にした小説、映画がヒットし、関連書籍も数多く出版され、今辞書の世界に新たな光が当たっている。
番組は、辞書作りにあこがれ、インターンとして辞書編集部に飛び込んだ大学院生の若い女性の視点で描く。
これは、辞書作りに人生をささげた編集者たちの不器用だが愛すべき物語である。

(内容59分)

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