2013年6月15日(土) 夜11時
【再放送】2013年6月22日(土)午前0時45分
※金曜日深夜    

スーパー能 ~650年目の革新~

今年は「能」を大成した世阿弥の生誕650年。この節目の年に、能の常識をくつがえす新作能の公演が行われた。その名も「スーパー能・世阿弥」。
原作は、かつてスーパー歌舞伎を書き下ろした哲学者の梅原猛(88歳)。演出と主演は、当代随一の能楽師・梅若玄祥(65歳)である。「全編現代語」、「照明効果の導入」、「多数の登場人物」・・・古典芸能の中でも特にかたくなに「伝統の形」を守り続けてきた能の世界では、いずれもあり得ないことであった。
原作者の梅原は、「能はすばらしい芸術なのに、言葉が難しいために見てもらえない」という危機感を持ち、現代人にも理解できる能を創ることを提唱、実現に至ったのだ。
原作を書き下ろすにあたり梅原は、世阿弥の謎に迫った。
後継者と期待していた息子を早くに亡くし、自身も晩年に佐渡に流された世阿弥。なぜ世阿弥はかくも不幸だったのか。古文書や古い能面を手がかりに、梅原は仮説を立て、スーパー能の物語の骨格とした。
能になじまない現代語の原作を、いかにして「能」にするのか。演出を担当した梅若玄祥にとっても初めての試みであった。舞台に立つ出演者とともに試行錯誤の日々をくりかえし、4月、初演の日を迎える。
ひとつの物語が紡ぎ出されていく瞬間。伝統を守りながら新たな試みに果敢に挑む能楽師たちの姿・・・。スーパー能が完成するまでの18か月をつぶさに追った。

<出演者>
梅原猛(哲学者・劇作家)、梅若玄祥(能楽師)、石橋蓮司(俳優・ナレーション担当)ほか

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