2011年11月20日(日) 夜10時

シリーズ イスラム激動の10年
第3回 ドイツ 移民社会
“多文化主義”の敗北

2年前、ドイツの法廷でイスラム移民の女性が殺された。殺したのは、彼女を「テロリスト」「イスラム原理主義者」とののしったことで訴えられたドイツ人。隠し持っていたナイフで16回、執ように刺した。女性のお腹には子どもがいた。

その翌年の10月。「多文化社会の試みは失敗した。完全に失敗した。」ドイツ・メルケル首相の発言がヨーロッパに波紋を呼んだ。イスラムと欧米の対立が鮮明となった911。リーマン・ショックによる経済不況が追い討ちをかけ、今、イスラム移民は逆風の中に立っている。「イスラムフォビア(嫌悪)」の中で、彼らは何を思い、どのように暮らしているのか。

一方、ヨーロッパ社会も、イスラム移民をどのように受け入れるか、模索が続いている。ドイツでは、移民のドイツ語習得を進めるなどの「統合」政策が打ち出された。イスラム移民が独自のコミュニティを作ってドイツ人と接触せず、社会を分断していると考えたためだ。しかし、「統合」は母国の文化を捨てさせる「同化」であると移民たちは反発、溝はなかなか埋まらない。

20年後、イスラム教徒は20億人を超え、世界人口の4人に1人に達するとも見込まれている。イスラムを知り、接するためには何が必要なのか。ヨーロッパ、最前線の現場に迫る。

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