2011年11月6日(日) 夜10時

シリーズ イスラム激動の10年
第1回 “エジプト革命”
ラマダンに民主化は揺れた

「インターネットを武器に若者が“革命”を起こした!」

北アフリカから中東にかけて広がる民主化運動“アラブの春”。エジプトでは、30年の独裁政権が崩壊した。しかし、新たな国家の建設に向かうなか、勢いを増す勢力がある。イスラムだ。

アメリカやヨーロッパからイスラム原理主義団体と名指しされてきた組織、ムスリム同胞団。政変後、政党を創設し、11月末の議会選挙では第一党になると目される。強固な組織力は、病院や孤児院の経営など貧しい人たちへの社会運動で培われた。「社会的公正」を重視するイスラムの教えに基づき、地道な活動を通じて、人々の心にしっかりと根を下ろしているのだ。

イスラムの勢いに押され、若者たちの運動は瓦解(がかい)しつつある。独裁政権の打倒後、新たな国家に向かうための明確なリーダーや、明確なビジョンがない。タハリール広場で治安部隊と衝突し、行き場のないエネルギーが暴走し始めている。しかし、若者たちもイスラムを信仰する新世代。悩み、惑い、新たな国家の方向へ、自分たちの運動をどうするべきか、見定めようとしている。

エジプトに1400年かけて根を張ったイスラム。その中で変転する“革命”の行方。さらに、少数派のキリスト教一派コプト教徒との関係やイスラエルとの国際関係など、新国家建設にあたって、さまざまな思惑が複雑に絡み合う。イスラムの聖なる月ラマダンに、民主化運動の現実を追った。

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