2011年6月5日(日) 夜10時30分
2012年1月2日(月) 午前2時(日曜深夜)再放送

暗黒のかなたの光明
~文明学者 梅棹忠夫がみた未来~

大阪に国立民族学博物館を創設、日本の民族学研究の礎を築き、比較文明学者として数々の業績をなした梅棹忠夫(うめさお ただお)が、昨年7月、90歳で亡くなった。梅棹は、大阪と生地京都を根拠地とし、世界中で学術探検を重ね、その知見をもとに戦後の日本社会に大きな影響を与えつづけた「知の巨人」だった。

20歳からはじまった探検調査は60か国以上。著作は生涯で240冊に及ぶ。斬新な文明論を展開した『文明の生態史観』(1957)、情報産業を文明史に位置づけた『情報産業論』(1963)、ベストセラーとなった『知的生産の技術』(1969)など、その先見性に満ちた著作は、今も多くの人々に読み継がれ、新たな発想の源となっている。

今春開催の「ウメサオタダオ展」(3/10-6/14国立民族学博物館)に向けて、梅棹の遺した資料が全面的に調査・整理された。その過程で、遺稿や映像、写真などの未公開資料も見つかり、その発想と活動の全貌を知ることができるようになった。
また今回新たに発見されたのが、未刊行におわり、幻の書ともいわれる「人類の未来」の資料だ。そこには、半世紀近く前に、地球規模のエコロジーの視点から、人類の行く末について数々の予言がなされていた。そしてその先に人類にとっての「暗黒のかなたの光明」を模索する梅棹の姿があった。

東日本大震災で、私たちの文明世界の価値観がゆらいでいるいま、番組では、梅棹忠夫と交流があった作家・博物学者の荒俣宏さんとともに、独自の文明論をもとにさまざまな予言をなした梅棹忠夫の未完の書「人類の未来」をめぐり、宗教学者の山折哲雄さんや他の識者との対話もまじえて、梅棹忠夫から投げかけられている問いかけを考える。

このサイトを共有する

  •  (NHKサイトを離れます。)
  • メールで投稿