2015年 1212日(土)よる11時放送
再放送1219日 午前0時放送(金曜深夜)

“医師の罪”を背負いて
~九大生体解剖事件~

終戦間際の1945年5月から6月にかけて、九州帝国大学医学部で米兵の捕虜を使った生体実験が行われた。世に言う「九大生体解剖事件」。墜落したB29の搭乗員8人に対し、海水を使った代用血液を注入するなどのさまざまな生体実験の手術が行われ、捕虜たちは死亡した。戦後70年間タブー視され、多く語られることのなかった「負の歴史」。生体実験に関わった医師や看護師は、すでに全員が事件についてほとんど語らぬまま亡くなってしまった。しかし、ただ一人、そのとき医学生として生体実験手術の現場に立ち会った証言者がいる。東野利夫さん(89)である。東野さんは戦後、福岡市内で産婦人科医院を営みながら、国内外で関係者に取材を重ね、多くの壁にぶつかりながらも、事件と向き合う地道な活動を続けてきた。
事件は、関係者や私たちに一体何を残したのか。私たちは何を反省し、何を語り継ぐべきなのか。番組では、東野さんの証言や亡くなった関係者・遺族への取材を通して、「九大生体解剖事件」からの70年という歳月の意味を見つめる。

語り:池田成志
(内容59分)

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事件は九州帝国大学の解剖実習室で起きた(再現イメージ)
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事件を目撃した医師の東野利夫さん。戦後70年が経ち、生存する最後の証人となった。
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この夏、東野さんは、事件についての展示を福岡で開催した。
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1980年、犠牲となったアメリカ兵が搭乗していたB29のワトキンス機長と面会した東野さん。