2015年 81日(土)よる11時放送
再放送88日 午前0時放送(金曜深夜)

二十の顔を持つ男
~没後50年 知られざる江戸川乱歩~

日本ミステリーの巨人、江戸川乱歩(1894-1965)が今年、没後50年を迎えた。
1923(大正12)年、緻密な暗号解読を軸とした『二銭銅貨』でデビュー。「日本初の本格探偵小説」と絶賛された。その後も怪奇幻想小説などが人気を集め、1936(昭和11)年に執筆を始めた『怪人二十面相』シリーズは、子どもたちの間で大ブームとなった。戦後、新人ミステリー作家に贈る江戸川乱歩賞を創設するなど後進を支援し、「大乱歩」とたたえられた。しかし、そうした華やかな業績の陰で、乱歩の人生には常に秘められた苦悩と葛藤があった。

近年、乱歩が残した資料の整理分析と共に、新たな視点からの研究が進み、その知られざる姿が現れてきた。少年時代を過ごした名古屋は当時、急速な近代化が進み、孤独だった乱歩少年の心に複雑な陰影を刻み込んでいった。そして、今回初めて公開されたみずから撮影したフィルムには、乱歩の心情を映し出す映像が記録されていた。少年のころ『怪人二十面相』に出会い、ミステリー作家を志したという綾辻行人さんや、芥川賞や大江健三郎賞などを受賞した作家の中村文則さんらが、乱歩の苦悩の生涯を見つめ、作品世界を読み解いていく。

出演:綾辻行人、中村文則
語り:リリー・フランキー
朗読:福島泰樹

(内容59分)

この放送を共有する

※NHKサイトを離れます

写真
今年、没後50年を迎えた日本ミステリーの巨人・江戸川乱歩。
写真
乱歩の作品と出会い、ミステリー作家になったと語る綾辻行人さん。
写真
芥川賞作家・中村文則さん。謎解きを超えた乱歩作品の魅力を語る。
写真
1936年、不穏な時代に登場した怪人二十面相に込められた乱歩の想いとは。