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里山のチカラ

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続里山資本主義 過疎の島こそ21世紀のフロンティア

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あの人に聞く“里山のチカラ”

●里山に移り住む若者が増えている

いまが、ひょっとしたら里山が残っている最後の時代かもしれない。もうなくなる寸前まで来ているのかもしれない。でもそのギリギリのところで実は、里山の価値に気付いて移り住む人が増え始めているんです。特に高度経済成長を知らない、若者の間で増えています。
 いまの40才より下の世代は、都会志向が薄くて、田舎暮らしにコンプレックスがありません。「ぜんぜん里山でいいんじゃないか」「里山、こんなにすごいのか」と若者が里山に向かう。そういう動きが確実に起き始めています。

最終回の収録が行われた広島県世羅町の「おへそカフェ」

しかもいまの人は、世間から切り離された形で、田舎に潜るのではありません。インターネットとかで、あちこちとつながった人が、つながったまま入ってくるんです。
 都会でサラリーマンをやっている人よりも、はるかにネットワークを持っている人、コミュニケーション力のある人、クリエイティブな人が入ってきています。だから面白い取り組みが始まる。一人で力尽きず、長続きするんです。

最終回『世界をつなぐネットワーク』で紹介した、広島県世羅町の「おへそカフェ」の夫婦が良い例です。2人はNGOの活動で、イタリアで住み込みで農業の手伝いをしたときに出会ったそうです。結婚してスペイン人の夫は、いきなり妻の故郷の里山に来たわけです。そして、今度は自分たちがホストファミリーとなって、世界中から若者を受け入れている。カフェの前の耕作放棄地だったところを、いまは外国人が耕しているんです。代々培ってきた良い土があるので、良い小麦が取れ、同じ土から取ったイースト菌で最高のパンが焼ける。
 中国地方の里山が、東京を飛ばしていきなり外国とつながっている。そういうことが起こる時代になったんです。

●土地を貸すことから 里山再生が始まる

里山はほとんどの場合、誰かの私有地です。だから里山の再生には、地元民が自分で土地を使うか、外の人に貸すかのどっちかがないと始まらない。そうすると、自力で再生を始める例もあるけれど、やっぱり外から来た人に土地を貸すことが重要になってくる。「おへそカフェ」だって、土地を貸してくれる人がいたからこそ、そこでお店を開いて、まわりの畑を使うことができるんです。

先祖代々の田畑を、みんななかなか貸せないんです。そこを、「きちんと土地に根付いて、長く使ってくれるなら」と貸す。度量のある人が、腹を決めて貸すところから、里山再生が始まります。その瞬間、里山は宝の山に変わるんです。

外から来た人に土地を貸せば、「価値の再発見」も起きます。『過疎の島こそ21世紀のフロンティア』の周防大島が良い例です。海はおだやかで気候は温暖。魚も果物もおいしくて、本当に良いところです。地元の人が当たり前だと思っていることに、実はすごい価値があるんです。そういう価値は、一回外に出た人や、外から来た人のほうが気付くんですよね。

●里山の「三方良し」

近江商人の言葉に、「三方良し」というのがあります。「売り手良し」「買い手良し」、そして「世間良し」。最初の2つは里山の場合だと、「自分が幸せに生きていける」、「里山の動物や植物も生きていける」ということ。3つ目の「世間良し」に当たるものが、先祖から受け継いだ里山を、子孫にちゃんと残すということになります。そうなることで初めて里山は「三方良し」なんです。
 目先のそろばんだけでやると、「世間」がなくなり、「里山」もなくなる。我々の代で絶やしてはいけません。そのためには目先の利益で計算できない、里山の価値に気付くことが重要です。幸い、そのことが分かる人は間違いなく増えています。

いま中国地方には、里山再生の面白い取り組みがたくさんあります。番組で登場したのは、そのほんの一部です。同じように面白い話は、四国にも九州にもたくさんあります。震災後は、東北を中心に東日本でも増えている。里山の価値が、いま確実に見直されているんです。その流れを止めないようにしなくてはいけません。

(2013年3月26日 東京渋谷 NHK放送センターにて)