インタビュー

鷹子って“おはぎ”みたいだなと思うんです 鷹子役 薬師丸ひろ子

 撮影が終わってから、鷹子って“おはぎ”みたいだなと思うようになりました。中はとても真っ白でやわらかいけど、それを“あんこ”みたいなものでくるんでいる。知らないうちに自分の周りを覆ってしまっている気がします。それが取れたとき、本当の彼女の人間性が見えてくるのではないでしょうか。これまで木皿さんの作品では、人に嫉妬したり、うらやんだりする役を演じたことがなかったのですが、今回演じた鷹子はまさにそういう人物。長女という亀の甲羅みたいな宿命を背負っているので、短いお話のなかで長女らしさを出すために、堅苦しさを表現したり、小物を使ったりと工夫しました。

 そんな鷹子がともに暮らす富士ファミリーの人々は、家族と言いつつも血縁で繋がっている人々ばかりではありません。それでもひとつの家族を形成しているのは、ともに暮らし、それぞれが“ここに居ること”を受け入れた結果だと思うんです。木皿作品では“自分の居場所”がテーマとしてよく問われるのですが、今回もそう。お互いに認め合える人の優しさやあたたかさがこの作品にも流れているように感じます。

 木皿作品には何作か出演させていただいていますが、ご夫妻がどうやって作品を生み出していらっしゃるか、楽しみや葛藤、苦悩を少しずつ知るようになってから、台本を読む感覚も少しずつ変わってきました。私自身がふだんあまり感じないようなこと(実は潜在的に感じているかもしれませんが)を、言葉に表してくださるような台本がとてもステキだと思うし、背中を押してもらう言葉も多々あります。
 そんなステキな言葉が詰まった作品なので、頭で理解するというよりも、感覚的にいかにセリフに乗っかっていけるかというのが重要な気がしています。いまでは、自分の中に木皿作品の引き出しのようなものがあって、そこを開けると私なりに作品に移行していくレールがあるように思います。

 そんな木皿さんの世界には、多くの俳優さんたちが“木皿作品”だというだけで、台本を信頼して集まってくるという特徴があります。お引き受けしたときには、どんなお話になるか分からないことが多いですが(笑)、それすら楽しみなんです。与えられたセリフを大事に抱えて、自分の役目を果たそうという思いが役者たちに共通しているので、現場も非常にまとまりもあるように感じます。

 放送はお正月なので、家族そろってご覧いただけると嬉しいです。私たち世代はもちろん、お年寄りまで、どんな年代の方にもそれぞれの立場で登場人物に感情移入していただけるのではないでしょうか。まずは「何なんだろう?このドラマ」と観ていただき、終わった後に「観て良かった」と感じていただける、そんなドラマになったと思っています。

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