インタビュー

生きてきた時間を感じさせることを意識 ナスミ役 小泉今日子

 木皿作品には過去にも出演していますが、いつも死生観を感じさせられます。生きている人と、もう生きていない人、魂を持たない人形や本などの物までもが、すべて同じ世界に存在していると思うんです。そこがすごく好きで、涙腺がゆるむポイントでもあるんですよね。それに、「みんなが平和でありますように」と子どもの字で書いたような、不器用なメッセージが感じられる。そこも大好きなポイントです。

 今回、私が演じるナスミもすでに死んでいるという設定。彼女は「生きていることって本当にすごい」と思っているんですね。生きているからこそ臆病になる大切な人たちの背中を押す、すごくステキな役なんですよ。でも、オファーをいただいたときは、何年も前に死んでいるという役だけに、もっと若い人をキャスティングすべきなんじゃないかと、プロデューサーに確認したんです。そうしたら、木皿泉さんの世界では幽霊も年を取るかもしれないという答えが返ってきました。だったら別にいいかなって(笑)。

 幽霊といっても「うらめしや~」みたいな幽霊とは違い、そのまんまそこに存在しているのがナスミのいいところ。だから、特に幽霊としての役作りはしませんでした(笑)。それよりも、生きてきた時間を感じさせることを意識して演じましたね。家族のなかでどんな存在だったのか、台本のなかで具体的に説明されているわけではなかったので、どう存在感を醸し出すかが課題でした。

 私自身は3姉妹の末っ子なのですが、姉妹で一番危なっかしいという点はナスミと共通しているのかも。私の姉も作中の鷹子さんのような気持ちで私を見守っていてくれていたのかなと思い、すごく共感できました。
それから、マツコロイドさんが言うセリフもとても深くて、台本を読みながらいつかあんなことを言ってあげられる人になりたいと思いましたね。まだまだ遠いかもしれませんが…(笑)。

 今はホームドラマが難しい時代なのか、あまり作られませんよね。でも、このドラマはあえてそこにチャレンジしていると思うんです。しかもこの家族は、血のつながりのない人たちで構成されている。血のつながりももちろん大きいけれど、一緒に暮らし、毎日同じご飯を食べることで家族になりうる。これから先の人生、私にもそういう関係性が必要になってくるんだ。そんな家族に匹敵するような関係性を、誰かと築いていけたら老後が楽しいだろうなって、何となくこのドラマを撮りながら思ってしまいました。ご覧になる方にも、そういう家族もアリなんだと思っていただけたらいいですね。

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