ドラマトピックス

「待たせたな」―。ご要望にお応えして、山本土方見参!

三谷幸喜が描く、男たちのドラマの総決算
新政府軍と戦いつづけた男の最後の思いとは?!

佐幕に生き佐幕に殉じた“最後の武士”、土方歳三。
しかし土方は、巷間言われているような時代に取り残された旧体制の男ではなく、戊辰戦争のプロセスで銃と大砲を主力とする近代戦法を吸収した、フランスの軍人も賞賛する天性の軍人だった。
土方歳三が最期に箱館の大地に見た夢は何だったのか?
「最期の一日」に焦点を絞って、激動の時代に尽忠報国を貫いた土方の思いを、熱くダイナミックに描く。

【あらすじ】
明治2年(1869)5月10日夜、新政府軍の総攻撃を翌朝に控えた箱館五稜郭。絶望的な状況で、箱館政府総裁・榎本武揚(片岡愛之助)、陸軍奉行・大鳥圭介(吹越満)ら幹部は別れの杯を交わしたが、その場に土方歳三(山本耕史)の姿はなかった。歳三は、京からの新選組の同志、島田魁(照英)らと共に奇襲をかけ、敵の兵糧を巻き上げていた。歳三は、一緒に戦いたいと言う島田たちを説得して皆に箱館の港と街の警備を命じ、世話役を務めていた市村鉄之助(池松壮亮)を密かに呼んで、故郷の多摩に送り出した。新選組と別れ、永井尚志(佐藤B作)から榎本の決心を聞いた歳三は、再考を促すべく榎本を訪ねようとするが、大鳥が立ちはだかった。立場と価値観が異なる三人の話し合いは、言葉を重ねていくうちに意外な方向に展開していく…。やがて総攻撃が開始され、敵の本陣を目指していた歳三は信じられない光景を目にした。そして、歳三が一本木関門を通過したとき敵の銃声が響く―。
 
【放送日時】
2006年(平成18年)
1月1日(日)衛星デジタルハイビジョン 19時20分~20時50分
1月3日(火)総合・デジタル総合 21時~22時30分
1月7日(土)BS2 19時30分~21時

【大河ドラマ『新選組!』総集編の再放送】
2006年1月3日(火)放送
総合テレビ
第1部・第2部  15時20分~18時
第3部 19時30分~20時44分


【おもな出演者】


s2006p02.jpg【土方歳三】
…山本耕史さん
ご存知、新選組副長。天保6年(1835)生まれ。明治元年(1868)4月、盟友である新選組局長・近藤勇が新政府軍に捕縛されたあとの土方は、江戸を脱出した大鳥率いる旧幕府軍に加わり、宇都宮、会津と転戦して、仙台で榎本武揚率いる旧幕府艦隊と合流し、10月、蝦夷地に上陸した。10月26日に、箱館・五稜郭に無血入城。
その後、土方は、軍を率いて松前、江差を押さえ、蝦夷地全島を制圧して、12月15日、五稜郭に凱旋した。土方の箱館政府での役職は、陸軍のナンバー2である陸軍奉行並。翌明治2年(1869)、新政府軍は反撃に転じ、4月9日、蝦夷地に上陸。以降、土方が孤軍奮闘するも新政府軍の進撃が続き、箱館政府軍は五稜郭への退却を余儀なくされる…。








s2006p03.jpg【榎本武揚】…片岡愛之助さん
土方より一歳若い、天保7年(1836)生まれ、箱館政府総裁。御家人の二男。
ジョン万次郎から英語と欧米の新知識を学び、長崎の海軍伝習所でオランダ人教官から指導を受け、海軍操練所の教授となった、いわゆる超エリート。文久2年(1862)、幕府がオランダに軍艦を発注したのを機にオランダに留学し、開陽丸の完成とともに、慶応3年(1867)帰国、翌明治元年(1868)、幕府海軍副総裁。8月、新政府軍による艦船引渡し要求を拒否し、八隻を率いて江戸を脱し、仙台で土方と出会う――。
降伏後、獄中生活を送るも、明治5年に赦免されると明治政府に出仕。まず、開拓使として北海道の調査と開墾に尽力、その後、政治家として、逓信、文部、外務大臣などを歴任し、旧幕臣としては、異例の重用を受けた。






s2006p04.jpg【大鳥圭介】…吹越満さん
天保4年(1833)生まれ、播州赤穂の村医の長男。緒方洪庵の適塾で蘭学を修めて、江川英敏の兵学塾で教授を務め、わが国活版印刷の嚆矢となる「築城典型」を翻訳刊行したりした、学究肌の人。やがて幕臣に取り立てられて歩兵奉行となるが、江戸城が新政府軍に引き渡されると、大鳥は配下を率いて江戸より脱出、国府台(千葉県市川市)で土方と出会う。以後、土方とともに、戊辰戦争を戦い抜く――。
 箱館政府の役職は、土方の上司にあたる、陸軍奉行。降伏後、獄中の身となるも、榎本と同様に赦免されると、開拓使御用掛として明治政府に出仕。その後、元老院議員、学習院長、枢密顧問官など、要職を歴任した。




 
【相馬主計】…小橋賢児さん
【島田魁】…照英さん
【尾関雅次郎】…熊面鯉さん
【蟻通勘吾】…山崎樹範さん
【山野八十八】…鳥羽潤さん
【市村鉄之助】…池松壮亮さん
【武蔵野楼女将】…南野陽子さん
【永井尚志】…佐藤B作さん

【回想シーンで登場】
【沖田総司】…藤原竜也さん
【藤堂平助】…中村勘太郎さん
【原田左之助】…山本太郎さん
【永倉新八】…山口智充さん
【山南敬助】…堺雅人さん
【井上源三郎】…小林隆さん
【斎藤一】…オダギリジョーさん
【松平容保】…筒井道隆さん
【近藤勇】…香取慎吾さん


【スタッフ】
作:三谷幸喜
音楽:服部隆之
制作統括:安原裕人(NHKエンタープライズ)・吉川幸司(NHKドラマ番組部)
演出:吉川邦夫(NHKエンタープライズ)

作者のことば…三谷幸喜
正直、こんな苦労した作品は初めてです。
なぜなら、土方歳三の最後の一年が、あまりにドラマチックすぎたから。
史実を追えば、それはもう山場の連続。大河ドラマがもう一年分書けるくらいの内容です。
しかし、今回は正月時代劇。この放送時間ではどうしてもダイジェストになってしまいます。それだけは避けたかった。
どこにポイントを絞るか、それでずいぶん悩みました。最終的には、歳三の「最期の一日」に物語を集約させ、彼の死に様を丹念に描くことで、生き様そのものを浮かび上がらせることにしました。
「五稜郭」は敗者の物語です。しかし、決して単なる悲劇として終わらせたくはなかった。
北の大地で、土方歳三が最後に夢見たものは何か。
敗者だけが見ることのできる、絶望の淵から顔を覗かせた「希望」。それが僕の描きたかった「五稜郭」でした。
決してハッピーエンドではありませんが、一年の始まりに相応しいドラマになったと思っています。

制作にあたって…安原裕人(NHKエンタープライズ)
私が北海道に赴任したとき、目を奪われた風景はまっすぐにどこまでも続く道でした。北海道というと、このまっすぐな道をまずイメージします。旧幕府軍として最後まで戦い抜いた土方歳三の人生は、まさに一本の道でした。土方の終焉の地が蝦夷地であることの符合を深く感じます。
「閉じこもった悲しみの日々にわたしが 自分を映してみる一本の道がある」、イタリアの詩人ウンベルト・サバの一節です。榎本武揚と大鳥圭介は降伏後明治政府に仕え、特に重用された榎本の生き方に対しては当時少なからず批判がありました。榎本や大鳥にとっても、土方は「一本の道」だったのではないか、それではひょっとして土方は戦に身を投じる前に榎本と大鳥に何かを託したのではないか・ ・ ・三谷さんは想像力の翼を見事に広げてくださいました。
また、「一本の道」の輪郭を浮かび上がらせるには、演じる側にスター性が求められます。片岡愛之助さんの品と風格、吹越満さんの緩急自在のリズム、そして山本耕史さんの 存在感、限られた時間と空間で繰り広げられる三谷ワールドの台詞劇をお楽しみください。

演出にあたって…吉川邦夫(NHKエンタープライズ)
土方歳三が、最後まで死に急いでいたわけではなかったとしたら…。
そう考えてみた時、新年にお届けする正月時代劇にふさわしいテーマが見えてきました
「あきらめないこと」。
異なる考え方を持つ人間同士がお互いに理解し合うことをあきらめない。
そして、未来をあきらめない。
現在を生きる私たちにとって、今もっとも重要なテーマのひとつです。
そして、三谷幸喜さんでなければ書けない新鮮で刺激的な台本が届きました。大河の五十番目のエピソードでありながら、単発ドラマとしての独立した魅力を兼ね備え、女性中心のドラマが主流の昨今に一石を投じる見事な「男のドラマ」になっていました。構造も型破り。ドラマの中盤は五稜郭の中だけで延々と続く、総裁・榎本武揚、陸軍奉行・大鳥圭介、そして陸軍奉行並の土方歳三の議論で構成されています。ワンシーン十分近い場面もあり、緊張感に満ちた現場になりました。
魅力的なキャスト&スタッフの熱意とアイディアを結集してその高いハードルにどのように挑んだか、是非ご覧ください。
そして、歳三が何にこだわって近藤勇の死後を生きたのかを、山本歳三入魂の芝居で堪能していただきたいと思います。


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