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見えすぎちゃって困るよ!?『スニッファー 嗅覚捜査官 スペシャル』8Kドラマ・美術さんのぶっちゃけ話

ハイビジョンってきれいだな~と感動したのがつい先日のことだと思うのですが、時代は進みに進みまくっており、いよいよ今年の12月1日から、4K・8K(!)の本放送が始まります。
今までの常識を越えた映像美。見えすぎちゃって困るレベルの高精細な映像で、一体どうやってドラマを撮影するのか。
全編8K撮影のドラマ「スニッファー スペシャル」の美術を担当した高橋さん・佐藤さんに、ぶっちゃけたところを話してもらいました!


編集部:
「スニッファー スペシャル」、撮影お疲れ様でした!
まず始めに、視聴者の皆さまに「美術の仕事とはなにか」というのを、簡単にご説明いただきたいのですが…。

佐藤綾子(以下、佐藤):
ドラマに関するビジュアル全体をディレクションする、といったところでしょうか。

高橋泰代(以下、高橋):
映像には映らないかもしれない部分も含め、カメラの前にあるすべての物の、見た目を作り込んでいく仕事ですね。

編集部:
セットの場合はもちろんだと思いますが、ロケのときも、風景や背景を作り込んだりするのですか?

高橋:
そうですね。ロケの環境をそのまま使うこともありますが、ドラマの設定や時代、ストーリーに合わせて、見た目を作り変えることのほうが多いですね。

編集部:
なるほど。ロケだから楽、ということもないのですね。
「スニッファー スペシャル」はNHK初の8Kドラマということで、今まで以上に大変だったのでは…?

高橋:
最初にお話を聞いた時は、「8Kだとあれこれ見えすぎちゃって、誰も幸せにならないんじゃないか」と思いました(笑)。

佐藤:
非常にクリアな映像になりますからね。その分、アラも見えてしまうというか…(笑)
SD(昔の標準画質)からハイビジョンに切り替わったとき以上の衝撃があるのではないかと、身構えましたね。

編集部:
そういえば、SDからハイビジョンへ切り替わる時期に「アップだと顔の毛穴が見えちゃう!」とか騒ぎになりましたね。ハイビジョン対応のファンデーションができたとか、聞いたことがあります。

佐藤:
よく憶えてますね。それ、私たちNHKアートと、化粧品会社さんが共同で開発したものなんです。

編集部:
え、そうだったんですか!
やはり画質が向上すると、見せたくないものも見えてしまうんですね。8K映像では、何がどういうことになってしまうんでしょう?

高橋:
ひとつひとつのモノのディテールや質感がはっきりと出ます。とても高精細で美しい映像になる反面、これまでのテレビドラマの感覚でやってしまうと、作りものっぽくなるというか、陳腐に見えてしまう危険がありましたね。

佐藤:
そういった理由からか、今回の「スニッファー スペシャル」には、映画制作に携わってきたスタッフさんが数多く参加しています。高橋さんも、そうですよね。

高橋:
はい。私は普段、映画の現場のほうが多いですね。そこから比較すると、8Kだからといって、大きく違う点はなかったですね。

編集部:
逆に言えば、映画並みに細やかな美術の仕事が、8Kには求められるということなんですね。
「スニッファー スペシャル」、総合での放送は通常のハイビジョンですが、高精細な8K版も見たくなります!

高橋:
監督の堀切園さんは色や絵にすごくこだわる人ですから、それこそ映画レベルのクオリティを目指して創っています。

佐藤:
グレーディング(撮影後の色調整など)もすごく丁寧に時間をかけていますから、相当な力作に仕上がっていますよ。

編集部:
みなさんは「スニッファー スペシャル」8K版の試写をご覧になったかと思いますが、実際に仕上がりを見ての感想は?

高橋:
思っていた以上に映像がクリアでしたね。そして映像がクリアになると、セットなどの奥行き感が少し薄れるという発見がありました。

佐藤:
今作では主人公の華岡が引っ越しをしたという設定で、前作のときとは違う、新しいラボが登場するんです。そこに奥行き感を出したくて、あえて細長い間取りにして、かつ高さも出るように、意識して空間を創りました。現場では相当な奥行きに見えたのですが、8Kで見ると、少し詰まって見えましたね。

編集部:
これも、画像が鮮明になった影響でしょうか?

高橋:
そうですね、奥の奥まで、そして暗いところも本当にクリアに映ってしまうので、距離感が出にくいのではないかと思います。次はもうひと工夫したいですね!

佐藤:
現場ではイメージ通りに仕上がっていたので、これはやはり、8K映像ならではの課題ですね。

編集部:
その他に意識した部分や、気づいた点はありましたか?

高橋:
いつも以上にモノを多めにしました。要するに、画面の情報量を多くしたんですね。
あるシーンでは、床から天井まで壁いっぱいに広がる本棚を背景にしました。これまでのハイビジョンなら、画面がゴテゴテしてうるさくなるのですが、8Kの場合は、そうではないんです。
逆に、それくらいにしないと、スカスカした印象になってしまうのですよ!

佐藤:
同じように、壁も単なる白い壁だとのっぺり映ってしまうので、凹凸感のある素材を選びました。木目でも3色の素材をランダムに組み合わせたりと、いろいろ工夫は必要でしたね。

編集部:
8K時代が到来して、美術さんのお仕事も、ますます大変になっていきますね。「スニッファー スペシャル」で、時代の目撃者になれるような気がしてきました!

高橋:
本物と偽物がよりわかりやすくなるので、ロケとセットとの差も、わかりやすくなるかもしれません(笑)。

佐藤:
今回のドラマで言うなら、華岡の友人・岩渕教授の部屋はロケだったんですが、あの本物感は、なかなかセットでは出しきれないですね。

高橋:
部屋の乱雑な感じとか、ブラインドがちょっと折れ曲がっていたりとか、そういう細部はやっぱり、本物の存在感が勝りますよ。あえて崩したり、汚したりして作り込んでも、8Kだとそれが見えてしまう。

編集部:
聞けば聞くほど、8Kの高精細映像というのは凄いのですね…。

高橋:
すごく抽象的な言い方になるんですけど、8Kの映像だと、重力まで映る気がするんです。そこにあるモノの重さを感じると言うか、存在感が目に見えてしまうんですね。
その分、美術スタッフとしてのやり甲斐も増すんですが(笑)。

編集部:
美術スタッフとして、8K時代にやってみたいことはありますか?

高橋:
水中撮影をやってみたいですね。奥行き感の表現が難しいという話が先ほどから出ていますが、水の深度が8Kでどこまで表現できるのか、チャレンジしてみたいと思いますね。

佐藤:
時代劇を8Kで撮ったらどうなるのか興味があります。かつらや衣装、セットなども、見直す必要があるかもしれません。だけど、どんな映像が撮れるのか、楽しみでもあるんです!

高橋:
先ほども奥行きの話が出てきましたが、たぶん、8Kで撮るには、今のスタジオでは狭すぎるんですよ。せめて倍くらいの大きさがないと。NHKのスタジオを倍の広さにしてほしいです(笑)。

編集部:
8K時代が到来すると、撮影現場は建物ごと変わっちゃうかもしれませんね(笑)。
最後に美術スタッフとして、8Kで制作された「スニッファー スペシャル」の見どころを教えてください。

高橋:
いろいろと言いましたが(笑)、やはり8Kの映像はすごいですよ。特に、華岡のラボはかなりの作り込みをした自信作なので、ぜひ、8Kでも観ていただきたいですね。

佐藤:
私もやっぱり、ラボのシーンですね。それほど出番は多くないんですが、私たちの自信作なので、しっかり観ていただけると嬉しいです。

編集部:
ありがとうございます。シリーズ続編があれば、ラボをたっぷり映してもらいましょう!(笑)

高橋:
でも、全部バラシちゃったからね~。

編集部:
えっ、もうないんですか。

佐藤:
ないです。もし続編があるとしたら、今回の経験を踏まえて、もっとすごいのを作ります!(笑)

美術スタッフさんも大奮闘の「スニッファー スペシャル」。
通常のハイビジョン版は、総合で3月21日(水)よる10時から!
そして4K版・8K版は、各地のNHKでの試験放送コーナーなどでご覧いただけるようになる予定です。
試験放送コーナーについては、NHKスーパーハイビジョン試験放送のページをチェックしてくださいね!

 

NHKスーパーハイビジョン試験放送
https://www.nhk.or.jp/shv/ 

「スニッファー スペシャル」番組ホームページ
http://www.nhk.or.jp/dsp/sniffersp/


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