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4Kドラマで鮮やかに蘇る! カラフル&ポップな昭和初期 ~4K-HDRで表現するNHK時代ドラマ『悦ちゃん』~

突然ですが、皆さま、いまテレビにすごい進化が起きそうだということをご存知ですか?
もし、テレビの画面から夏の暑さが伝わってきたら…、
おいしい卵焼きのにおいがしてきたら…。
実はそんな願いも、もう空想ではないかもしれません。

そんな願いに近づく第一歩が「4K-HDR」という映像表現です。

今回、土曜時代ドラマ『悦ちゃん』では、「4K-HDR」での制作にトライしました。
(※こちらは、4K-HDRの試験放送として10月以降全国のNHK放送局などで見る事が出来ますよ。詳しくは試験放送のHPで。http://www.nhk.or.jp/shv/


この「4K-HDR」とは、一体どんなものなのでしょうか。

説明が難しいので、まずはこちら『悦ちゃん』第1回の冒頭シーンのカットをご覧ください。

(※必ずしもテレビの実際のHDRの映像とは一致しません)

「4K-HDR」のほうが、緑の深さが色濃く出ているのがわかりますか?
温度や匂いが伝わるように感じるほど、色や光が劇的に繊細な映像を表現できるんです。

 今回は、「4K」「HDR」とは何かを紐解きつつ、ドラマにおけるその魅力について迫っていこうと思います!

 

◎まず「4K」ってなに?

そもそもよく聞く「4K」とは何のことだか知っていますか?

現在、主流であるフルハイビジョン(HD)のテレビは、表示パネルの横が1920画素となっており、これに対し4Kテレビは約2倍の3840(約4000)画素。
1000は1Kという単位で記されるため、4Kテレビと呼ばれているのです。

 

◎HDRってなに?

映像の美しさは画面の細かさや一秒間の映像の枚数など様々な要素から成り立ち、
その中でも最近注目されているのが、輝度=画面の明るさです。
現在主流のTVは「SDR(スタンダードダイナミックレンジ=Standard Dynamic Range)」と呼ばれますが、「HDR(ハイダイナミックレンジ=High Dynamic Range)」と呼ばれる技術を使うと、より肉眼に近い表現が可能になります。

↑芝生の色味も木々の葉の色味もまるで異なり、かまぼこ型の扉上部に注目するとその違いは歴然。

 

◎4K-HDRになると何がいいの?

では4K-HDRで制作された映像は、HDやSDRの映像とはいったい何が違うのでしょう?
話がちょっと難しくなりますが、もうしばしお付き合いくださいませ!

↑三角柱の底面が色を表し、高さが明るさを表す。従来のSDRに比べて、HDRは表現できる明るさの範囲が広がった。


上記の色の付いた部分は、人間の目が識別し得る色の範囲を表し、
三角柱の縦軸は輝度(ニッツ=nits)、つまり明るさの度合いを表しています。

色の付いたかまぼこ型の中の小さい三角形がHDで表現できる色。
いま、皆さんがテレビで見ている色の範囲です。
こうして見ると、わたしたちが普段目にしている世界の色の半分ほどしかテレビでは表現できていなかったのです。
これは、わたしにとってとっても驚きでした。

そのSDRに比べ、4K-HDRは表現できる色の数が格段に増え、画面が明るく見えるようになっています。
それでもまだ、表現できない色の域があるわけですね。
人間の目たるや恐るべし、です。

これまでのドラマの撮影では、ひとつの画面上に明るい部分と暗い部分が混在した場合、
暗い部分を優先させると、明るい部分が白くとんでしまい、
明るい部分を優先させると、暗い部分が黒くつぶれてしまいました。
表現できる色の幅が狭いために、場合によってどちらかを優先させて撮影する必要があったのです。

 

【SDR】

↑明るい部分に基準を合わせると、光が強く当たっているところは白くとんでしまい、
暗い部分に基準を合わせると、光が強く当たっていないところは黒くつぶれてしまう


【HDR】

↑HDRでは、明るい部分も暗い部分も元々の色味に近いまま映像でも表現される

 

しかしHDRで制作することによって、明るい部分は明るいまま、暗い部分もはっきりと映すことが可能になり、さらに4Kで表現できる色が増えて人間の目に近づいたことで、明るい部分も暗い部分も同等に多彩な色味で再現できるようになりました。

 

これによって、平面の画面上でも奥行きの表現が可能になり、
物の質感や温度感も伝わって、よりリアルな映像をお届けできるのです。
下の画よりも上の画のほうが、夏の暑さが伝わってくる気がしませんか?

『悦ちゃん』に登場するカオルさんや道行くエキストラの皆さんの洋服をご覧いただくとお分かりいただけますが、昭和初期は想像以上に色に溢れた時代でした。
どうしても昭和前期というと戦中のイメージが強く、白黒の映像が思い出されがちですが、洋服の色味もさることながら街並みも生活も、実際にはかなりポップだったのです。

『悦ちゃん』ドラマ化に当たって、昭和初期のポップさ、色彩の豊かさの表現は、今回、ひとつのテーマでした。
それゆえ色彩溢れる4K-HDRの最新映像技術は、そのテーマを叶える立役者だったのです。

 

◎4K-HDR試験放送、始まる!

しかし、これほどまで色彩豊かな表現方法を見られる環境は、まだ一般には整っていません。

世間に出回っている4Kテレビも、SDRでしか見られないものも多いのです。
実はHDRが見られるかどうかは、テレビの性能に左右されるので、4K-HDRをご自宅で見るためには、HDR対応のテレビが必要不可欠になります。

そういう流れで、最近コマーシャル等でも、4K-HDR対応のテレビが頻繁に宣伝されているというワケなんですね。

 

さてさて。
いまから80年前に獅子文六によって生み出された『悦ちゃん』ですが、2017年の最新技術で、まるで今そこに登場人物が生きているようにカラフル&ポップに作ろう!とドラマ化をして参りました。
これを機に、戦争を挟んで遠く昔に感じる時代の物語でも、臨場感あふれる映像で迫れる企画が増えていくかもしれません。

2019年1月から始まる大河ドラマ『いだてん』は、4Kでの制作が決まっています。
その直前の、2018年12月には、いよいよスーパーハイビジョン(SHV)の実用放送が始まります!4Kテレビであれば一般の家庭でも、最新技術の放送を見ることができるようになるのです。

2018年の実用放送でテレビドラマの表現力は、格段に上がります。

来る2020年は、東京オリンピック開催の年。
アスリートたちの汗が画面を越してこちらまで飛んでくるように感じる!なんてこともあるかもしれません。
大迫力の映像を、ご家庭の4Kテレビでぜひともお楽しみください。

 

↑9月12日にNHK局内で行われた4K-HDRと4K-SDR(HD)の両モニターを使って比較検討会の様子
制作・技術・美術あらゆるスタッフが集まって、4K-HDRの表現の可能性を探りました。


素敵な物語を、あらゆる面で良質なドラマとして視聴者の皆様に届けたい!
その思いは、これからのドラマ作りにも脈々と受け継がれていきます。

これからも進化し続けるNHKドラマを、ぜひぜひお楽しみください!!

→「悦ちゃん」番組ホームページへ


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