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忠臣蔵の恋~四十八人目の忠臣~ 原作・諸田玲子先生に 雪のお江戸で直撃インタビュー!

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討ち入りの後、雪のお江戸を赤穂浪士たちが練り歩く…そんなシーンの撮影をすると聞き、土曜時代劇「忠臣蔵の恋~四十八人目の忠臣~」の撮影が行われている「ワープステーション江戸」にお邪魔してきました。すると偶然、原作の諸田玲子先生が撮影を見学中ではありませんか。これは、お話しを伺うしかないでしょう!


茨城県のつくばみらい市にある、ワープステーション江戸。オープンセットだとは解っているのですが、足を踏み入れると、本当にタイムスリップしてしまったような気分になります。

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江戸庶民の暮らしぶりが目に浮かぶ長屋、盛んな海運を象徴する廻船問屋。茶店通りには小料理屋や酒場が並び、武家通りに大店通り、町家通りなどもあります。そして川には鯉が泳ぎ、小舟が浮かび、河岸には柳の木がゆらりと風に揺れ…。

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この日はちょうど「討ち入り後に浪士が江戸の街を行進する」シーンの撮影をするとあって、ところどころ、雪が降っているのも風情があります(この雪、なんと砂と綿と水でした)。

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そんなお江戸散策を楽しんでいると、「忠臣蔵の恋~四十八人目の忠臣~」の原作者である諸田玲子先生と、制作統括の小松昌代プロデューサーをお見かけしました。少しお時間を頂戴して、作品について語っていただきました!

 

編集部:
さっそくですが「忠臣蔵の恋」のストーリーは、どういうきっかけで生まれたのですか?

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諸田玲子(以下、諸田):
以前から「忠臣蔵を書いてほしい」というファンの方からの声があって、短編はいくつか書いたことがあったんです。忠臣蔵は日本人にとって、時代ものの、ひとつの代表ですからね。ただ「私に書けるかなぁ…」という思いはありました。そして資料をいろいろ探っていくうちに、「きよ」という女性の存在を見つけて、これなら!と、長編にチャレンジしたんです。

編集部:
きよの存在が大きかったんですね。女性目線の忠臣蔵で、四十七士が脇役というのも、めずらしいですよね。

諸田:
たとえば家康を描くのでも、秀吉を描くのでも、そして忠臣蔵で言うなら大石内蔵助を描くのでも、彼らの後ろには恋人や妻、子どもがいたりするわけです。そういう視点からすれば、忠臣蔵はとても身近な話です。だから、私が書く意味もあるのではないかと。

編集部:
新たな視点で描かれる忠臣蔵ですなんですね。そして小松プロデューサー、ドラマとしてのテーマはどこにあるのでしょう?

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小松昌代プロデューサー(以下、小松P):
原作にも描かれていますが、物語の本質は「きよという女性がどう変わっていくか」「どう生きていくか」がテーマになります。きよは最初の頃、ある意味「腰掛けOL」的な意識で働いているんです。けれども好きな人ができて、その人のために、どんどん自分を変えていく。その姿を見届けてほしいな、と思いますね。

諸田:
きよは自分で決めて、先へ進んでいく女性なんですね。そのたびに、強くなっていく。もちろん、確信や自信があるわけでなく、悩みながら人生を切り拓いていくんです。

小松P:
その選択も、すべて「人のため」を考えてなされているのが、きよという女性の心根を表していると思います。

諸田:
時代劇というと、事件や合戦がメインで描かれることが多く、大抵の場合は男性が主人公ですよね。残念ながら、女性の顔が見えてこないんです。けれど、戦う男性の後ろには必ず女性がいて、石を投げたら波紋が広がるように、戦が起これば、女性たちにもその波紋は広がっていったと思うんです。私は、そこを描きたいなと。

小松P:
忠臣蔵では、男性陣は本懐を遂げた後に、自分たちもこの世から退場していきます。その時、残された女性は、男たちの意志を次の世代へ受け継いでいくという、使命を負うことになります。

諸田:
受け継ぐって、すごく地味な努力で、長い年月のかかることですよね。そして、そういう部分は、歴史から取りこぼされてしまうことも多い。けれど「受け継ぐ」というのは、とても大切な役割だと思うんです。受け継ぐ人がいなければ、忠臣蔵の話だって、今の私たちが知ることもなかったわけですから。

小松P:
男性とは違う意味で、別の方向で家を継いでいくのが、当時の女性の役目なのでしょうね。

諸田:
きよのように、地に足をつけて生きていく姿、強さを秘めた生き方には、憧れますね。自分で書いた主人公ではありますけれど…(笑)。

編集部:
そんなきよを演じている武井咲さんですが、撮影を見学されて、印象はいかがでしたか?

諸田:
武井咲さんは、これまで現代モノでしか拝見したことがなかったのですが、あまりにもきよにピッタリで、びっくりしました。
特に、目の強さがいいですよね。それでいて柔らかい雰囲気を醸し出しているのが、きよにとても近いと思うんです。

小松P:
キャスティングの際に重要視したのは、「十郎左衛門様とひと目で惹かれ合う」という設定がしっくりする人。そして人の話を聞いたり、周りの状況を見るときに、言葉にできない心情を、表情
で表せる人。さらに、ドンドン変わっていく姿を見てみたいと思う人。そう考えた時、武井咲さんがスッと浮かびました。

諸田:
回を追うごとに、きよが武井咲さんに乗り移ってきている感じです(笑)。まさに、きよがそこにいる、と思わせる存在感が出てきました。和装や所作も、すごく美しいなと思います。

小松P:
そして、あの目ヂカラも魅力的ですね。じっと見つめられたら、女性でもドキドキしてしまいます。だから、あんな瞳で見つめられた、十郎左衛門様が落ちるのも無理ないと思います(笑)。

編集部:
そんな十郎左衛門様こと、福士誠治さんですが…。

小松P:
福士さんのキャスティングは、脚本の吉田紀子さんからの提案だったんです。キリッとした武士としての姿も、包容力を感じさせる柔らかさも、十郎左衛門様にピタリとハマっていますよね。

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諸田:
福士さんも、目の表情がいいですよね。大きなアクションがなくても、武士としてのオーラがちゃんと出せる役者さんです。武井さんと二人のシーンは、あの時代に佇んでいる、存在しているということを、感じさせてくれます。

編集部:
ある意味変則的な時代劇でもあるわけですが、演じる方も勝手が違うかもしれませんね。

小松P:
そうですね。普通の時代劇なら「忠義」という方向で突き詰めていけばいいんですが、今回のドラマは「愛」という、ある意味、忠義とは真逆にある方向も極めていくわけです。その葛藤を表現していくのは、とても大変だと思います。

諸田:
そして、それが上手く出ているんですよね。いち視聴者として、そう思います(笑)。あの時代ならではのじれったさと言うか、ひとこと言わない、言えないもどかしさは、現代のストレートな若者にはない部分ですよね。そういう恋愛が、すごく似合うお二人だな…と思っています。

小松P:
お互いに志は遂げたい、遂げてほしい。でも、生きたい、生きてほしい。そういう思いの中で葛藤する恋ですから、甘いだけのものにはどうしたってなりません。けれど、その切なさを観ている方にも一緒に味わってほしいですね。

諸田:
観ている方も、忠臣蔵の結末はご存じなわけですから、きよと十郎左衛門様の恋に終りが来ることも、わかっているんですよね。だからこそ、切なくて、美しい。十郎左衛門様は旅立ってしまっても、そこで終わりではないと、私は思います。きよの中に、十郎左衛門様は生きている。だからこそ、きよは強くなっていけるんです。

編集部:
年内には、四十七士の皆さんが物語から去ってしまうわけですが、残されたきよは、これからどうなっていくのでしょう?

小松P:
そこから新しい世界へ踏み出していきます。最終的にはなんと、江戸城大奥へ。楽しみにしてください。

諸田:
ひとつ言えるのは、十郎左衛門様から託された想いを抱き、きよはきよなりの方法で、命をつないでいくということです。男性とは違う、女の戦いの中で変わっていく。たくましくなっていく。そんなきよを、ぜひ観てほしいですね。

小松P:
きよがどう生き、何を成し遂げていくのか。討ち入り後こそ、きよの生き様の真骨頂ですから!

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誰もが知っている忠臣蔵の、誰も知らなかった物語。大きな歴史の波紋の中にいた女性たちは、討ち入り後をどう生き抜いていったのか…。
土曜時代劇「忠臣蔵の恋~四十八人目の忠臣~」は、毎週土曜、午後6 時10 分より放送中です。今回撮影に出くわした、討ち入り後に浪士たちが江戸を練り歩くシーンは、12月末に放送予定です。あまりにも美しい忠臣蔵の世界、今からの方も、ぜひ!

→「忠臣蔵の恋~四十八人目の忠臣~」番組ホームページへ


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