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イルカトレーナーに 向いてる人って?

イルカトレーナーに向いてる人って?

次回、8月26日(金)の放送が待ち遠しい「水族館ガール」。
放送まで皆様に「水族館熱」を保っていただくため、番組のロケ地となった水族館を取材するこの企画。後編は品川区にある「しながわ水族館」で、イルカショーについてあれこれ聞いてきました!

 


■「しながわ水族館」にお邪魔します!

京急線・大森海岸駅から歩いて約8分。
しながわ区民公園内にある、しながわ水族館に到着です!

夏休みということもあるのですが、館内はお子様たちでいっぱい。みんな目をキラキラさせて、展示に夢中です。なかには、番組スタッフを解説員と勘違いして、質問をしてくる子も...(びっくり)。「お兄さんはここの人じゃなくてね~」などなど言い訳をしていたら、館長の野田友行さんが登場しました!

野田館長
「ようこそいらっしゃいました。今日は館内をご案内しながら、ご質問にお答えさせていただきます!」

スタッフ
「ありがとうございます!視聴者の皆様から、イルカショーについてのご質問がたくさん来ているので、ショーの舞台裏やスタッフさんについて、お話が聞けると嬉しいです」

野田館長
「でしたらまずはショーをご覧いただいて、それからイルカのトレーナーをご紹介しますね。ではさっそく、プールへ向かいましょう!」

■どうやってイルカに芸を教えるの?

ということで、水族館の奥にあるプールに移動します。
おおおお、ここ、どこかで見たことがあります!

そうです。ドラマで登場したイルカプールです。
そして観客席は超満員。
やはり、イルカショーは人気なのですね。


ぴょこ。

スタッフ
「あれっ、イルカがもうプールに入ってるんですね。合図をしてから、トレーナーさんの後に入ってくるのだと思っていました」

野田館長
「イルカは頭の良い生きものですから、ショーの前にウォーミングアップ リラックスが必要なんです。ぶっつけ本番でプールに入れても、うまく集中できないんですネ」

スタッフ
「メチャクチャ人間っぽいですね!」そんなこんなで、イルカショーが始まります。 しながわ水族館は「イルカとの近さ」がウリ。
本当に目の前で、イルカが泳いで、跳ねて、飛んじゃいます!


ジャンプ!


ジャンプ!!


ペアジャンプ!!!


きゅーん。

スタッフ
「イルカ、 びっくりするくらいパフォーマンスがうまいですね。一体どうやってトレーニングしているんでしょう?」

野田館長
「実は、我々が動きを教えているわけではない のです。イルカたちが自然界で行っている運動を『引き出している』のですよ」

スタッフ
「引き出している?」

野田館長
「イルカは遊ぶことが大好きなので、ジャンプをしたり、何かを突っついたりすることが、習性としてあるのです。そこで、イルカが良いジャンプをしたときに笛を吹いて、『ありがとう』の意思を伝えて、エサをあげる」


きゅーん。

スタッフ
「あの笛って、 合図じゃなくてお礼なんですね」

野田館長
「そうです。この繰り返しで、イルカも『ここでこうしたら人間が喜ぶんだな』 と分かるわけです。そのうちイルカとコミュニケーション出来るようになって、ショーとして仕上がるのですね」

スタッフ
「なるほど。イルカショーって、 人間がイルカに遊んで貰って、お礼をしているところを見せているんですね」

野田館長
「はい。イルカのパフォーマンスを我々は『トリック』と呼んでいますが、力で押さえつけてもやってくれません。 人間がイルカに、これが見たいとお願いしなくてはいけません。そして、イルカたちにとってパフォーマンスは遊びの一環なので、飽きてしまったり、集中力を失ったりすることもあるので、これがまた難しいのです」

スタッフ
「ドラマで出てきたC1ジャンプも、気に入ったトレーナー相手にしか出しませんでしたからね」

野田館長
「実はあのC1ジャンプ、実際のイルカショーでは見られないものなのですよ~」

スタッフ
「えっ、どうしてですか」

野田館長
「みなさんは笛を吹いてイルカに芸をさせて、ごほうびとして魚をあげると考えられていますよね」

スタッフ
「あっなるほど。 笛とエサは結果であって、 エサを捕ることとパフォーマンスは別なのですね」

野田館長
「そうなんです。イルカにパフォーマンスをしてもらって、『ありがとう』の印に笛を吹いて、そして魚をあげるという手順なのです。なので、魚を捕るためにスピンジャンプしてもらうというのは、イルカショーとしては存在しない手順なのですね」

スタッフ
「C1ジャンプは、 ドラマだから見られるファンタジックな出来事なんですね。」

※ちなみに、原作でのC1ジャンプはドラマとは別の設定になっており、困難ながらも実現の可能性があるようです。夢がありますね!

スタッフ
「ところで、ジャンプさせる場所とか、着水する地点とかは、どうやってコントロールしているのでしょう?」

野田館長
「コントロールしているというより、そうなるようにしているのです。夕方に『ドルフィン・スプラッシュタイム』という、イルカが客席近くに着水して水しぶきをあげるショーがあるので、それを見るとよくわかりますよ!」

スタッフ
「楽しみです!」

野田館長
「とはいえ、ショーの時間までもう少しあるので、それまでしながわ水族館の裏側をご案内しましょう!」

■しながわ水族館の調餌場で はたらくお姉さんに出会った!

ということで、ショーの時間まで水族館の裏側をご案内いただくことにしました。まずは「調餌(ちょうじ)場」と呼ばれる、生きものたちのエサを調理する部屋です。実はこの部屋が、ドラマに出てくる調餌場のモデルになったんですよ!


中に入ると、水族館スタッフの工藤さんが冷凍の魚を、天野さんがミンチを調理していました。

野田館長
「こちらが、しながわ水族館で最年少の工藤さん。まだ入りたてのスタッフさんです。工藤さん、お魚について話していただけますか」

工藤さん
「いま解凍しているのは、海獣に与える冷凍の魚です。ここに一晩おいて自然解凍させます。朝にスタッフが出てきたら、今度は流水で解凍します。そうして生きものたちに与えられるようになります!」

野田館長
「そして、こちらのトレイにあるのが、魚類に与えるミンチ。天野さん、お願いします」

天野さん
「ここで作ったミンチを、ほぼ全ての魚に与えています。中身はエビ、アジ、アサリなどを使うことが多いですね!」

スタッフ
「お魚が新鮮なのか、嫌なにおいがしないですね。見た感じも、 私が家で食べてるなめろうより美味しそうです...」

それにしても、生きもののためにキビキビ働くスタッフさんたち、本当にカッコいいですね。子どもたちが憧れるのも、わかります!!

■C1役を演じたのはどのイルカ?

続いて、水族館のスタッフルームへと案内していただきます。 ここにはマニア垂涎(?)、超レアなアレが...!


ぴっ。

野田館長
「これが、しながわ水族館のイルカの飼育日誌と、トレーニング日誌です。飼育日誌には個体名と、体温や食べたエサの量が記録されています。トレーニング日誌には、その日のトレーニング内容が記録されています」

スタッフ
「これを見ると、しながわ水族館にはイルカが何頭もいるんですね」

野田館長
「はい。全部で5頭がショーに出ています!」


トレーニング日誌はかなり詳細。

スタッフ
「ティナ、ジョニー、バニラ。しながわ水族館では、記号ではなく名前がついてるんですね!」

野田館長
「そうです。そしてそのバニラというのが、ドラマでC1を演じたイルカですヨ」


この子がC1!

スタッフ
「あっ、この子がC1なんですか。バンドウイルカのメスなんですね。しながわ水族館に来れば、会うことができますか?」

野田館長
「ローテーションがあるので必ずとは言えませんが、ショーに登場していればご覧いただけますよ。バニラはちょうど次のショーに出るので、そろそろ見に行きましょう!」

■イルカの着水をコントロールするトレーナーの技、ここに解明!

というわけで、しながわ水族館の夏休み特別企画、『ドルフィン・スプラッシュタイム』がはじまります。


イルカの着水する位置をどうしてコントロールできるのか、下の写真からおわかりいただけますか?


前回のイルカショー


今回のイルカショー

下の答えを見る前に、ちょっとだけ考えてみてください。 では、続きです。

スタッフ
「館長、着水する位置の話ですが...」

野田館長
「ほら、トレーナーの立ち位置がさっきのショーと違いますよね。イルカはトレーナーと遊んでいるので、トレーナーのいるところに動きます。だからトレーナーの立ち位置しだいで、着水地点をある程度コントロールできるんですよ~」

スタッフ
「なるほど。やっぱり、イルカたちに人間が遊んで貰ってるんですね(笑)」

そうこうしているうちに、ショーがはじまります。 C1こと、バニラも大活躍!
イルカたちが客席のすぐ近くに着水し、半端ない水しぶきが上がります!!


ぴょーーん


ばっしゃーーーーーーーーーーーん!!


トレーナーさんも全身ずぶ濡れ!

もう、しぶきで何も見えません!
服が濡れるのを気にして、大人は遠巻きに見つめていますが、子どもたちは水かぶりの席で大興奮。イルカにあわせて、ピョンピョン跳ね回っています!!
これは楽しいでしょうねえ~私もカメラがなければ!!

■イルカトレーナーさんに細かいことまで聞いてみた!

野田館長
「というわけで、さきほどのショーに出ていた、イルカトレーナーの山辺さんをご紹介します。ドラマの撮影にあたっては、松岡さん、桐谷さんのコーチも担当しました」

山辺さん
「よろしくお願いします!」

スタッフ
「まず、イルカトレーナーさんの1日のスケジュールを教えていただけますか?」

山辺さん
「そうですね。朝は8時くらいに出勤して、生きものたちの状態確認と簡単な掃除をします。何か異常があったり、薬を与える必要があれば、ここで対応します。その後で午前中の分のエサを作って、10時のオープンを迎えるまでが朝の仕事です」

スタッフ
「メチャクチャ忙しそうですね...」

山辺さん
「やっていると慣れますよ(笑)。その後はトレーニングをして、生きものたちにエサをあげます。最後にその日の動物状態を日誌に記録して、すべての作業が終了したら、退勤します」

スタッフ
「それほど退勤が遅くはならないんですね」

山辺さん
「仕事ですから、必要とあれば24時間の行動観察で水族館に泊まることもあります!」

スタッフ
「イルカショーについてですが、新人のトレーナーがイルカにパフォーマンスをしてもらうまで、どれくらいの期間が必要なのでしょうか?」

山辺さん
「イルカ自身がパフォーマンスを憶えていますから、ジャンプしてもらうだけなら、実は1日でもやれるんです。ですが、ショーの担当になるためには、その先が難しいんですね」

スタッフ
「その先?」

山辺さん
「イルカも私たち人間と同じ哺乳動物なので、同じ事を繰り返していると飽きることがあるんです。そうなると、本番中であろうがもう動いてくれません。イルカの集中力を持続させるため、パフォーマンスや練習のメニューをアドリブで変えたりして気分転換させることもあります」

スタッフ
「なるほど。イルカと呼吸が合うというか、信頼関係がないと難しそうですね!」

山辺さん
「そうなんです。ジャンプさせるだけなら簡単なのですが、15分のショーをやり切るためには、イルカと信頼関係を育んで、コミュニケーションが取れなければいけません。なので、一通りのショーができるようになるまで、最低でも3~4ヶ月は必要だと思います」

野田館長
「とはいえ、水族館の業務自体や、生きものについても勉強しなくてはいけませんから、初めての方が水族館に入って、3~4ヶ月でデビューすることはありません。イルカトレーナーの仕事のうち、ショーの部分は10%、いや5%くらいですネ」

山辺さん
「今回の撮影では、松岡さんも桐谷さんも、約1ヶ月という短期間で、動きの部分をマスターしてくれました。役者さんって、すごいですね!」

野田館長
「お二人には、撮影が始まる1ヶ月ほど前から、しながわ水族館に通ってトレーニングをしていただきました。開館前の朝の時間を使っていただいたのですが、熱が入ってついつい開館時間を過ぎてしまい、一般のお客さんに見つかったこともありました(笑)」

スタッフ
「なるほど。やっぱり時間が必要だったんですね。そのほか撮影の際に、苦労されたことや工夫されたことはありますか」

野田館長
「撮影の際にイルカたちが驚かないよう、ダミーのカメラやマイクを用意して、イルカに見せるところからはじめました。私たちもドラマの撮影は初めてなので、イルカにショックを与えないよう、手探りで慎重に進めていきました」

スタッフ
「繊細にご対応いただいたのですね。あと、イルカのトレーナーになりたいという方からお問い合わせをいただくのですが、どういった方がトレーナーに向いていると思われますか?」

山辺さん
「コミュニケーション能力が必要だと思います。人間とのコミュニケーションがうまい人は、生きものともうまくやれると思います!」

スタッフ
「やっぱり同じ生きもの同士、通じるものがあるんですね~」

野田館長
「たしかにイルカショーは華のある仕事ですが、先ほども申し上げたように、トレーナーの業務のうち、ショーに携わるのは全体の5%ほどです。なので、忍耐力がなければ続かないと思います」

スタッフ
「華やかな面だけ見ていると、後が大変そうですよね」

野田館長
「はい。それから何より、私たちは水族館を『命の博物館』だと思っています。生きものを紹介して、感じていただくために、命を預かっているわけです。なので、その覚悟がないと、もたない仕事だと思います」

スタッフ
「ありがとうございます。最後に、水族館初心者の方や、これから初めて水族館を訪れるという方に、水族館の楽しみ方を教えていただけますか?」

野田館長
「例えば当館ですと、区民公園の中にありますから、お弁当を作って、公園で遊んで、暑くなってきたら水族館、というふうに、暑~い夏の行楽に組み込んでいただくことができますヨ」

スタッフ
「行楽に水族館を組み込むというのは、涼しげでいいですね!」

野田館長
「それから当館では、土曜日限定ではありますが、水族館の裏側をバックヤードツアーでご覧いただけます。イルカ、アシカのショーなども、それぞれの時間がかぶらないように設定していますので、半日くらいかけていただければ、堪能していただけるかなと。そして8月19日(金)、21日(日)、25日(木)、26日(金)、28日(日)の14時から、私がドラマのロケ現場をご案内するツアーをやりますので、ご興味のある方は参加されてはいかがでしょうか」

スタッフ
「しながわ水族館、本当に半日たっぷり楽しめました。もっといたいです!(笑)」

...というわけで、イルカについて、水族館について、そして水族館で働くということについて、楽しみながらいっぱい学ぶことができました。
皆さんも放送再開まで、お近くの水族館で楽しんで、ワクワクしていただければ、ドラマを何倍も楽しめるかと思います!
次回「水族館ガール」第6回、8月26日放送です!!

 


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