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水族館「裏」の楽しみかた

水族館「裏」の楽しみかた

大好評放送中のドラマ10「水族館ガール」ですが、大好評にもかかわらず、大型スポーツイベントの関係で、放送が3週間もお休みになってしまいます...。
そんなわけで「早くドラマの世界に戻りたい!」という皆様のために、番組ロケ地の水族館に潜入し、現役の「水族館ボーイ&ガール(?)」たちに、水族館の「裏」の楽しみ方を教えてもらいました。
番組の再開まで、水族館気分で突っ走っていただければ幸いです!

 


サンシャイン水族館に到着!

「水族館ガールのロケ地はどこなの?」
「お魚やイルカに逢いたい!」
というご質問をたくさん頂いています。今回、展示施設部分は豊島区のサンシャイン水族館、イルカショーの舞台などは品川区のしながわ水族館さんで撮影させていただきました。
というわけで、まずはサンシャイン水族館にお邪魔してみましょう!


質問したい放題だから楽しい!
バックヤードツアーに参加


池袋駅から徒歩8分。都民の憩いの場にもなっている、サンシャイン水族館に到着です。
ドラマにならって「水族館の裏側が見たい」とお願いしたところ、丁度バックヤードツアーをやっているということで、それに混ぜていただくことになりました!

ツアーを案内してくださるのは、アクアゲストコミュニケーション部の松戸課長(下写真・左)と、海獣担当の近澤さん(同・右)です。

スタッフ
「本日はよろしくお願いします。基本的な話で恐縮なのですが、案内員の近澤さんも飼育員の方なのですか?」

松戸課長
「そうですよ~。うちは飼育員がシフトを組んで、ご案内にあたるようにしています。私が案内することもあります!」

スタッフ
「てっきり、遊園地のキャストさんのような専任のスタッフがいるのかと思っていました」

松戸課長
「『お客様ファースト』を重要と考えているので、ご質問には極力、その場でお答えしたいのです。なので、実際に現場で飼育に携わっているスタッフが対応させていただいています」

スタッフ
「たしかに、知らないです、スイマセン、で終わるのは、ちょっと寂しいですよね」

松戸課長
「飼育員は個体ごとのクセとか特徴も把握しているので、お話しが弾むというのもあります。あと、『わかりません』で済ませるのは、我々のプライドが許さない部分もあります!(笑)」

スタッフ
「ということは、バックヤードだけじゃなく、館内で案内してくれるお兄さんやお姉さんも...?」

松戸課長
「グッズショップやカフェのスタッフなどは違いますが、基本的には飼育員が解説員としてご案内できるように、館内を歩いています。なので、何かご質問があれば、その場で気軽に聞いてみてくださいね」

というわけで、まずはエサをつくる『調餌場(ちょうじば)』に移動します。
近澤さんが手際よく、冷凍の魚や虫などを取り出して、どれをどの生き物に与えるか、どうして冷凍を使うのかなど、子どもたちにも解りやすく話してくれます。

スタッフ
「あれっ」

スタッフ
「冷凍の魚と虫まではわかるんですけど、あれ絶対オレンジですよね。水族館に、柑橘類を食べる生き物がいるんですか?」

松戸課長
「それが、いるんです。リクガメです」

スタッフ
「可愛いのに、噛まれると痛いリクガメですか」

松戸課長
「そうです。あれが食べるんですね。具体的には、エサにほんの少し混ぜることで、リクガメの食欲を増進させる効果があります」

スタッフ
「エサっていうより隠し味じゃないですか。カメも人間も、同じなんですねえ~」

続いて、業務用の冷凍庫へ。
扉を開けるとものすごい轟音が発生し、会話をすることができません。

スタッフ
「松戸さん、この轟音はなんなのですか?」

松戸課長
「これはエアーカーテンの噴出音ですね。冷気が逃げないよう、空気を高圧で吹き出して壁を作っているので、すごい音がするんです」

スタッフ
「ほんとだ。扉を開けても冷気が吹き出してこないですね」

松戸課長
「よかったら中に入ってみてください」

スタッフ
「マジですか。さっそくお邪魔...ってこれ、想像以上に寒いですね! 3秒くらいでいいです!!出ます!!!」

松戸課長
「わはは、寒いでしょう。ドラマのように閉じ込められたら、えらいことになるわけです。でも実際は、内側からも解錠することができるんですよ(笑)」

スタッフ
「ホントだ!なんだか解らないけど安心しました(笑)」

真夏に南極体験(?)をしたところで、次はバックヤードツアーのクライマックス。展示用水槽を上から覗くコーナーです。
近澤さんから、「続いて、展示用の水槽を上から見てみましょう。ポケットの中の物を落とさないよう注意してくださいね」という注意が入ります。

スタッフ
「なんか聞いたような話ですね。ドラマでも、イルカの笛をプールに落としたなんて騒動が...」

松戸課長
「水槽に何かが落ちたら、ダイバーを入れて、さらわないといけません。イルカとかだと、間違って食べちゃいますからね。そうなるとドラマと同じように、大変なことになります」

スタッフ
ドラマの大騒動を思い出すと本当に怖いで、取材道具はしまっておきます」

そしてオーラス、地味だけど大事な「ろ過設備」を見学させていただきます。

松戸課長
「これが水族館の命綱、水のろ過設備です」

スタッフ
「やっぱり水をろ過しないとヤバいんですか」

松戸課長
「肺呼吸をする海獣類は多少水が汚れていても大丈夫ですが、魚類はえら呼吸ですから、水がダメになると一発でアウトです。ろ過設備がダウンすると、大変なことになります。ちなみにろ過設備をクリーニングすると、このように汚れが浮いてきます」

スタッフ
「想像以上にヤバいですね」

松戸課長
「基本的に、1つの水槽には2つのろ過機がありますし、ビルの下には発電機も常備してあって、24時間程度なら停電にも耐え抜くことができるんです。もし停電が長引いた場合でも、燃料を補充して稼働時間を延ばせるようにしています」

スタッフ
「さすがに厳重なんですね。ところで、この水はどこから持ってくるんですか?」

松戸課長
「淡水は水道水の消毒用塩素を中和して使っていますが、海水は八丈島沖から持ってきています」

スタッフ
「わざわざ八丈島沖から。専用のタンカーに届けてもらっているのですか?」

松戸課長
「実はこの水、船のバラスト水をもらっているんです」

スタッフ
「バラスト水?」

松戸課長
「貨物船は、行きは荷物を満載していますから、重たいですよね。でも帰りは空荷なので、軽い。船は浮きすぎても、沈みすぎてもよくないので、重量のバランスが崩れないように、海水を取り入れて東京まで戻ってくるんですね。この水がバラスト水です。八丈島の水はキレイなので、魚たちにもいいんですよ」

スタッフ
「うまくできてますね。サンシャイン水族館は東京のど真ん中ですが、海沿いの水族館より、いい水を使っているんじゃないですか?」

松戸課長
「海沿いの水族館も、沖合まで取水パイプを伸ばしているので、ちゃんときれいな水を使っています。みんな、水には気をつかっていますね!」

スタッフ
「水族館の命の水ですもんね。色々と勉強になりました!」

というわけで、楽しかったバックヤードツアーもこれで終了。
松戸課長によると、案内するスタッフごとに紹介するポイントが変わったり、色々と創意工夫があるそうです。何度でもリピートしたくなっちゃいますね!
ただしこれは大人気のアトラクションで、1日2回・各回15名までで締め切るとのこと。ご注意くださいね。


今でも若い水族館ボーイ!
丸山館長に色々と質問しちゃいました


そして今回、なんと館長の丸山さんにもお話を伺うことが出来ました。せっかくなので、番組のホームページに寄せられた水族館に関する質問を、館長にぶつけてみましょう!

スタッフ
「館長、本日はありがとうございます。さっそくですが、水族館で働くにはどうすればいいのというご質問が、番組ホームページにいっぱい来ているのですが...」

丸山館長
「その質問、私もよくいただくんです。現実的な話をすると、基本的には、海洋系獣医系の大学で学んでいただいて、それから採用試験を経て、入社するケースが多いですね。定期的な募集は行っておらず、退職者が出たときに求人を出しています」

スタッフ
「やはり、狭き門なんですか?」

丸山館長
生きものが好きでやっている人ばかりなので、辞める人が本当に少ない。なので、求人自体が少ないのだと思います。大学を出た年に求人が全然ない、なんていうこともありますから、狭き門というより、が必要なのかもしれませんね」

スタッフ
「館長自身は、どうしてこの仕事を選ばれたのですか?」

丸山館長
「実は私も、生きものが好きでこの仕事につきました。深川の生まれで、ちょっと自転車で走ると埋め立て地があって、海岸に出られるんですね。子どものころは、そこでずっと釣りをやっていました。野犬に追い立てられて、釣り道具を放りだして逃げたこともありますよ(笑)」

スタッフ
「素敵な少年時代ですね!」

丸山館長
「成長してから海洋系の大学に入って、約30年前にサンシャイン水族館に入りました。当時から求人の少ない仕事でしたから、私は運がよかったのかもしれませんね~」

スタッフ
「ドラマのように、熱血指導の先輩にシゴかれたりはしましたか?」

丸山館長
「厳しい先輩はいましたが、ドラマほどではないです。あとは...そうだな。エサづくりをする『調餌(ちょうじ)』を始めたときに、マイ出刃包丁を貰ったのはドラマと同じですね!(笑)」

スタッフ
「やはりドラマのように、生きものが好きで、ずっと泊まりがけで働いているスタッフさんがいたりするのですか?」

丸山館長
「生き物相手の仕事ですし、みんな本当に生きものが好きですから、帰りたがらない人は実際にいます。でも法令がありますし、スタッフが健康を害してもいけませんから、そのあたりはキッチリ指導しています」

スタッフ
「ドラマの登場人物が持っている熱気、実際の水族館にもあるんですね。続いての質問ですが、ドラマでも本社の課長があれこれ言っていましたが、目立たない生き物を丁寧に展示しているのはどうしてですか?」

丸山館長
「目立つ生きものだけ採り上げると、イルカやシャチなどの大きな動物ばかりになってしまいます。でも、海には色々な生きものがいるから、イルカやシャチも生きていけるわけです。海そのものを理解していただいたり、興味を持ってもらうためには、目立たない生き物の展示も大事だと思っているのです」

スタッフ
「なるほど。海に興味のある人がいなくなったら、動物の研究や魚の養殖なんかもダメになっちゃいますから、責任重大ですね。あと個人的にですが、目立たない小さな生き物のほうが、面白いというか、ずっと見ていたくなるんですよね!」

丸山館長
「そういうお客様、実はけっこう多いのですよ~」

スタッフ
「ものすご~~~く、気持ちがわかります。世界が見渡せるというか、ミニチュアの世界みたいで、ハマっちゃいますよね」

丸山館長
「小さな生きものの世界、勉強するともっと楽しくなります。館内の解説員にご質問いただいてもいいですし、夢中で見ているお客様には、こちらからお声がけをすることもあります。遠慮せず、色々聞いてくださいね!」

スタッフ
「ところで、初めて水族館に行くという人に、オススメしたいスポットはあったりしますか?」

丸山館長
「うーん、そうですね。ペンギンやペリカンに給餌するパフォーマンスがあるのですが、やはり人気がありますね」

スタッフ
「ペンギンプール、ドラマでは西田尚美さんが仕切っていますね。ペリカンも最終話に出てきます!」

丸山館長
「それから、アシカパフォーマンスもこの夏、ミュージカル仕立てにしてリニューアルしたので、これもぜひ楽しんでいただきたいです。駆け足で見て3時間、ゆっくり見て半日くらい楽しめると思います。パフォーマンスの合間に色々な生きものを見て、興味を持てる生きものを増やしていただければ、嬉しいですね!」

スタッフ
「アシカの水槽は、由香がコウさんと出会うシーンで出てきましたね。あと、ドラマでは描かれなかったけれど、知ってみると楽しい超こまかい水族館の裏側などはあったりしますか?」

丸山館長
「そうですね...アクリルの研磨とか、スゴイですよ」

スタッフ
アクリルの研磨?

丸山館長
「水槽はアクリルで出来ているのですが、これがキズに弱いんです。定期的に研磨するのですが、これがまた、地味だけどスゴイ技術なんです。なんと今では水抜きをせずに、そのままアクリルの内側を磨くこともできるんです!」

スタッフ
「そもそも、どうしてキズがつくのですか?」

丸山館長
「生きものがひっかいたり、体に砂をつけたまま接触するのが原因ですね。ほらほら、このキズ。アクリルの内側に二本線がついているでしょう。これ、エイが歯でひっかいた跡なんですヨ」

スタッフ
「ホントだ、内側にピッとついてますね。二本線ということは、犬歯みたいなのがエイにもあるんですね。裏側を知ってみると、水槽のキズまで楽しくなってきました!」

丸山館長
「そうはいっても、やはり水槽の中をよりクリアな状態で観ていただきたいので、このキズもそのうち研磨で消してしまいます」

スタッフ
「生きものをキレイに見せるこだわり、水槽と研磨の世界も面白いですね~!」

丸山館長
「あと、タニシに似た『イシマキガイ』という巻き貝をいくつかの水槽に入れているのですが、これはなんのためだかわかりますか?」

スタッフ
「水草かなにかについてきて、勝手に繁殖したのだと思っていましたが...」

丸山館長
「実はこれ、貝が水槽の内側にへばりついて、きれいにしてくれるので、わざと入れているんですよ!」

スタッフ
「イシマキガイ、メダル級の大活躍じゃないですか。水族館ってほんとに、目立たないところにも見どころがあるんですね~!」

...そんなわけで、超駆け足でサンシャイン水族館を見て回りましたが、気がつくと本当に半日が経っていました。
スタッフさんと話しながら歩く水族館、メチャクチャ楽しいですね。そして熱くて、面白くて、あれこれ知っている水族館ガールや水族館ボーイが、本当にいるのだと感動しました。知りたいことは聞いてみる。そうすることで、水族館を何倍も楽しめるのですね!
というわけで次回「品川のイルカに会いに行く!イルカトレーナーさんはこんな人」編に続きます!!!!

 


「水族館ガール」をNHKオンデマンドで視聴する
「水族館ガール」公式ホームページ


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