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音で見せる! オーディオドラマの世界

音で見せる!
オーディオドラマの世界

知っている人はよく知っているけれど、知らない人はまったく知らない世界。それが「オーディオドラマ」。
台詞と音楽、効果音だけで構成されたドラマのことですが、実はほぼ毎日、NHKラジオで放送されているのです!そしてインターネットでも聴けるのです!(知ってました?)
というわけで、音の世界だからこその魅力と苦労を、特集オーディオドラマ『昭和20年のベートーベン』の小見山ディレクターに語っていただきました。
きっとオーディオドラマが観たく...いや、聴きたくなるはずです!

 


■今年で90歳!オーディオドラマの魅力

オーディオドラマならではの魅力と苦労をお伺いするべく、NHKの300スタジオに『昭和20年のベートーベン』の小見山ディレクターを訪ねました。
ここは音響効果(効果音)などを収録するスタジオで、オーディオドラマの心臓部?とも言える場所なのです。
今日も効果音の収録中でしたが、ちょっと時間を割いていただきました!

編集部:
「いきなりですが、オーディオドラマっていつからあるのでしょうか?」

小見山ディレクター:
「NHKが放送を開始した1925年からです。なので、今年で90年になりますね」

編集部:
「90年!長いのですね。それだけ長く愛されている理由って、何なのでしょうか」

小見山ディレクター:
「テレビドラマと違って映像がありませんから、そのぶん想像力が掻き立てられるのだと思います。耳で聞いているだけなのに、映像が見えてくるようなドラマがいいですね。そして制作者の立場から言えば、ファンタジーでもSFでも、予算をかけずに創れるのはうれしいのです(笑)」

編集部:
「そうか、セットを組んだり、ロケに行ったり、CGを作ったりする必要がないんですよね」

小見山ディレクター:
「あとは、表現の幅の広さが違いますね。現実にはいけない場所...たとえば、人の頭の中とか、心の中にも入って行くことができますからね」

編集部:
「なるほど。とはいえ、台詞と音楽で全てを説明するのは大変ですよね」

小見山ディレクター:
「そこが苦労するところで、やはり効果音が大事になってきます。ちょうど『昭和20年のベートーベン』の効果音を収録しているので、収録現場をご案内しましょう!」

■効果音職人さんの仕事風景を見た!

というわけで、効果音の収録スタジオにお邪魔してみ...

なんですか!これは!!

ドアで作られた箱(表現不能)や、 隣あった木製と金属製の階段。
靴が大量に詰め込まれた棚に、プールのようなもの...。
想像していた「スタジオ」の姿とはかなり違います。

編集部:
「すすすす、すごいですね。スタジオというより、大道具さんの倉庫みたいですが、ここで効果音を録ってるんですか?」

小見山ディレクター:
「そうですよ。例えば男女が歩く音を録るときは、2人の音効さんに来てもらって、それぞれ革靴とヒールを履いてもらいます。そして、シーンに合わせた板の上で歩いてもらうわけです」

編集部:
「あっ、なるほど。木の廊下とか、アスファルトの歩道とかで、音が違いますもんね」

小見山ディレクター:
「いまは軍人が部屋に入ってくるシーンを撮っているので、革靴を履いて歩いてもらっています。それから木製のドアを開け閉めして、シーンにあわせた音をつくるわけです。ちょっとやってもらいましょう」

編集部:
「おおおおお、なるほど。たしかにそう聞こえます。そしてこの不思議なドアの箱、こう使うんですね...」

小見山ディレクター:
「ほかにも水の音を録るときは、そっちのプールみたいなところに水を入れて、いろんな道具を組み合わせて...と、音効さんが創意工夫しているんですよ。では、本番をはじめましょうか」

というわけで、本番の収録風景も見せていただきました。
音効のお兄さん二人に、ディレクターからのリクエストが飛びます。

「手を振っているシーンです。存在感を出してください」
(音効さんは布をゴシゴシこすって、衣擦れの音をつくります)
「息遣いに合わせて走ってください」
(音効さん二人でタップダンスのように足踏みします)

...なるほど、効果音が入ると確かに臨場感が出てきます! しかし、音効さんって大変なお仕事なのですね。セリフを理解するのはもちろん、ディレクターさんのリクエスト、キャラクターが置かれている状況や心情を汲み取って、音を紡いでいく。それはもはや、演技そのもの。プロの技!!

■再び、小見山ディレクターを直撃!

編集部:
「いやーー、すごいものを聞かせていただきました。ところで、オーディオドラマはいつ放送されているんですか?」

小見山ディレクター:
「実は、毎日やってるんです(笑)。まず、ラジオ第一で放送しているのが『新日曜名作座』。その名の通り、日曜日のよる7時20分から放送しています。西田敏行さんと竹下景子さんのおふたりで、たくさんの役柄をこなしていただくシリーズなんです」

編集部:
「おお、豪華ですね。聴きごたえがありそうです」

小見山ディレクター:
「ご期待に沿えると思います。そしてFMでは毎週土曜日よる9時に『FMシアター』を放送しています。上質で、チャレンジ精神のある作品が多いので、色々な人に楽しんでいただけると思います。また同じくFMで、月曜から金曜のよる10時45分から『青春アドベンチャー』というシリーズを放送しています。1回15分と短いのですが、連続ドラマのようなスタイルで、ファンタジーやサスペンスなど、エンターテインメント性の高い作品を放送しています」

編集部:
「本当に毎日やってるんですね!」

小見山ディレクター:
「そうです。それに加えて、特集オーディオドラマという単発の番組もありますよ」

編集部:
「そう、それですよ。今年の終戦の日に放送される特集オーディオドラマのお話、聞かせてください!」

■「昭和20年のベートーベン~焼跡に響いた第九~」

小見山ディレクター:
「終戦の日の8月15日(土)に放送される特集オーディオドラマ『昭和20年のベートーベン~焼跡に響いた第九~』は、史実をベースにしたオリジナルストーリーです。終戦間近の東京下町を舞台に、音楽を愛した少女と青年の淡い恋と別れを描いています」

編集部:
「史実がベースになっているんですね。戦時中にコンサートが開かれていたなんて、まったく知りませんでした」

小見山ディレクター:
「私も意外だったのですが、戦時中も、日本交響楽団(現在のNHK交響楽団)による演奏会が開かれていたようですね。苦しい時代だからこそ、誰もが娯楽に飢えていたのでしょう。今回のドラマでは、昭和20年の6月13日と14日に、日比谷公会堂で「第九」が演奏されたという史実がベースになっています」

編集部:
「本当に終戦間近なのですね」

小見山ディレクター:
「6月といえば沖縄戦があったころで、私たちはもうすぐ戦争が終わると知っていますが、当時の人たちは当然、そうではないわけです。人を愛したい気持ちがあっても、未来が見えず、それが叶わなかった時代に、純粋に想い合った若いふたりの物語を描きたい。そう思ったんです」

編集部:
「なるほど。そして倍賞千恵子さん、野波麻帆さん、吉見一豊さん、徳井優さんと、豪華なキャストですね」

小見山ディレクター:
「野波麻帆さんには生歌にもチャレンジしていただきました。第九のメロディを口ずさむシーンがあるのですが、ドイツ語の歌詞をマスターするのが難しく、歌唱の先生にかなり厳しく指導されていました」

編集部:
「最後に改めて、オーディオドラマの聴きどころを教えてください」

小見山ディレクター:
「オーディオドラマは、絵のないテレビドラマでは面白くないんです。
役者さんたちのセリフや効果音、音楽で、どこまで風景や心情、空気感を表現できるか、日々勝負しています。ぜひ耳を澄ませて、この世界へ飛び込んでください。明かりを落として、ろうそくを灯して、ヘッドフォンで聴くと、雰囲気が出ると思います。いや、そこまでして欲しいとは言いませんが...(笑)」

編集部:
「聴いてみます!そして今は、 ラジオがなくても聴けるんですよね?」

小見山ディレクター:
「そうなんです。ラジオだけでなく、インターネットからも"らじる★らじる"で聴くことができますので、気軽にオーディオドラマの世界を体験してみてくださいね」


「すごい映像」を前面に出したテレビや映画は数多くありますが、それとは真逆のポジションにあるオーディオドラマ。その世界に触れてみて、「言葉」や「音」が持つ可能性を改めて実感しました。
8月15日(土)放送の『昭和20年のベートーベン』
想像力をフル回転して、あの時代へと一緒にタイムスリップしてみませんか?
「らじる★らじる」でインターネットからでも聴くことが出来ますので、ぜひ!

NHKオーディオドラマホームページ

昭和20年のベートーベンホームページ

「らじる★らじる」でNHKラジオを聴く


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