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「眠れる森の熟女」脚本・篠﨑絵里子さんに聞く!<前編>

「眠れる森の熟女」
脚本・篠﨑絵里子さんに聞く!<前編>

物語もいよいよ佳境に入った「眠れる森の熟女」。全国のみなさまから、「人生、何歳からでもやり直せる」「千波から勇気をもらった」「共感できる」という、たくさんの反響を頂いています。本当にありがとうございます!
草刈さん瀬戸さんに続くインタビュー記事の第三弾として、40代の女たちの本音に真正面から向き合い、ご自身も悩みながらこの物語を完成させたという、脚本家・篠﨑絵里子さん、演出の渡邊ディレクターにお話を伺いました!
舞台裏トーク満載、豪華前後編でお届けします!!!!

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編:
というわけで、篠崎さん、渡邊ディレクター、本日はよろしくお願いします。
まず篠崎さんにお伺いしたいのですが、完成した作品をご覧になって、どんな感想を持たれましたか?

篠﨑絵里子(以下、篠﨑):
予想以上に面白くなっていて、私が思っていたよりもそれぞれの人物が一段階ずつハネて生き生きとしていました。自分で言うのもなんですが、面白かったと思います。

編:
この作品のオファーを受けた時のお気持ちは

篠﨑:
40~50代の女性が寝る前の時間帯に見て、元気になって頂けるようなお話を作りましょう、ということでした。最初は「どうやったら元気になれるだろう?」と考えましたが、プロデューサー、ディレクターと方向性を検討するうちに、リアルなものにしようと決めました。
ちょうど同じ頃バレエを見に行き、物語の中の「王子」を見たら気持ちがスッと晴れたんですね。「いいよね王子って」(笑)という単純なところから始まり、「眠れる森の美女」からタイトルが浮かんだ時に、「いつ目を覚ましても、何歳でもどこからでも頑張れる」というテーマが面白いと思い、この企画になりました。

編:
草刈民代さん演じる相沢千波はいかがですか?

篠﨑:
書きながら想像していた千波さんは、しおらしい、天然でほわっとした女性をイメージしていました。いざ草刈さんが演じて下さってキャラクターが立ち上がると、人間臭さが加わった気がします。ドラマを見ながら自分に置き換えやすくなったのではと思います。
でも、あんなに姿勢の良い主婦や、黒いドレスをキレイに着こなせる主婦もそういないと思います(笑)リアルだけれど、少し普通の主婦ではない美しさや凛としたところがあって、見る方が"夢見られる部分"と"リアルな部分"がいいバランスで共存していると思います。

編:
「胡桃の部屋」に続いて、瀬戸康史さんが出演し、渡邊ディレクターが担当でしたね。

篠﨑:
信頼関係が出来ていたのでやりやすかったですし、瀬戸康史さんは「胡桃の部屋」の時からとてもいい俳優さんだと思っておりました。若いのに、考え方が年齢以上に大人だと思います。
「ホントは40代でしょ?」と思うくらいに(笑)。かといって若さが無いわけではなく魅力的で、瀬戸康史さんが祐輔役に決まった時には、「熟女も十分愛せる王子が来た!」って(笑)うれしくなりました。

渡邊D:
王子の祐輔役は28歳の設定ですが、瀬戸君は20代前半でやや童顔でもあるので、総支配人としてのリアリティの面で多少考えましたが、出演されている舞台を見て、男らしく大人っぽく成長されているのを実感しました。「胡桃の部屋」ではお芝居が瑞々しくて、とても勘のいい方なので、是非またご一緒したいと思っていました。

篠﨑:
若い方の無意識な残酷さが無いですよね。無意識に熟女をはじく目線とか(笑)孤独が似合う方という印象もあり、いじめたらかわいいかなと思いました(笑)イメージは、「ガラスの仮面」の速水真澄です。

編:
離婚調停中のベテラン専業主婦と、若き一流ホテル総支配人、という設定が面白いです。この設定が生まれたきっかけを教えてください。

渡邊D:
どうしてホテルかというと、華やかで王子が似合うという単純な話なんですよ。ホテル自体が非日常的な空間ですし。

篠﨑:
王子との落差を付けるためと言いますか、専業主婦がすぐに就ける仕事が限られてくる中で、王子的な存在がいる世界と考えて、ホテルを舞台にしました。総支配人室が上の階、リネン室が下の階にある、その位置関係もいいと思いました。「世界が違う」ことを、年齢だけでなく身分も違うということも強調したかったですね。
究極を言うとシンデレラの世界ですね。「見初められる」というのが女性の願い(笑)そこに近づけたかったですね。

編:
お気に入りの登場人物は?

篠﨑:
千波さんが一番愛おしいと思いながら書きました。でも千波、京子、春子の女性三人ですかね。

編:
三人の設定に思い入れなどはありますか

篠﨑:
三人とも思い入れはありますね。みんな私の分身のような気持ちです。

編:
千波がかけるに「お漬物食べる?」と聞くセリフがものすごくリアルでいいですね。1話のお茶漬けのシーンで「生わさび」に驚きました。

篠﨑:
お母さんて、ご飯がはじまってから言い出しますよね(笑)お漬物は専業主婦の基本のような気がするんです。

渡邊D:
わさびは僕が決めました。「そんなマヌケな会話を交わしていられたのはその夜だけだった」というナレーションの間、ぽけーっと顔を見合わせているお芝居にはならないんです。リハーサルの時に、羽場さんが布巾を手に取って、ごまかすためにやたらテーブルを拭くというのをやり始めて、その時なるほどと思いました。
「離婚したい」と言ったもののお互い会話を進められず、浩史はテーブルをゴシゴシ拭く、千波はやたらと作業を続ける、という。生わさびだったらゴシゴシやれるから、生わさびだ!ということで。あの家ならこだわりの生わさびもあり得ると。ちょっと変な感じのシーンにしたかったんです。


編:
この作品は、千波と祐輔との手紙のやりとりで物語が展開していきますが、この設定を決めたきっかけは?

篠﨑
昔からの名作少女文学などを意識して書いているところがあります。メールも考えましたが手紙の持つ魅力が捨てがたく、ちょっと時代を感じるところも好きです。
たぶん手紙の主は、こんな仕事を斡旋してくれるくらいだからお金持ちで、包み込んでくれるナイスミドル?(笑)そんな「足長おじさん」のイメージが欲しかったので、手紙を使うことにしました。手紙には本音を隠して書いている時の面白さもあり、通常のナレーションとは一味違うものになりました。

渡邊D:
台本を作る時、どちらかと言えばナレーションを少なくしたいものなのですが、手紙を読むことで説明口調にならないんです。ナレーションのようで「説明セリフ」にならない良さがありましたよね。
今回難しかったのは、千波は「祐輔が手紙を書いている」ことを知らないのに、祐輔の手紙は瀬戸康史君の声で読んでいて、千波の映像に祐輔の声がかかっているんですよね。それが見る側を混乱させないかと心配しました。ただ、送り主が祐輔であると分かった時に、嫌悪感や驚き、恥ずかしさが千波にある。すでに視聴者の方は知っているので、千波の気持ちがよりいっそう伝わることになった、それが効果として上手く出て面白かったですね。

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篠崎さんに加え、渡邊ディレクターの参戦で盛り上がっていますが、前編はここまで!
後編ではさらに深いところまで突っ込んだ話も...!?
記事は再来週公開の予定です。どうぞ、お楽しみに!!
※篠崎絵里子さんの『崎』の字は、一部の端末で表示できないため、「崎」に置き換えさせていただきました。


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