サイレント・プア NHKドラマ10

NHK BSプレミアム

番組のみどころ

サイレント・プア――声なき貧困。いま、そんな「見えない貧しさ」が社会に広がっている。それに立ち向かうべく新たに全国各地に登場したのが、コミュニティ・ソーシャルワーカー(CSW) という仕事だ。

里見涼(深田恭子) は東京下町の社会福祉協議会CSWとして、今日も愛する町を駆けまわる。
涼が出会うのはゴミ屋敷の主、引きこもり、ホームレス、若年性認知症など、懸命に生きながらも現代の社会的孤立の淵に沈んだ人たち。彼らに手を差し伸べ、それぞれの人生にふれていく涼だが、そんな涼自身にも独りで抱え続ける絶望的な孤独があった。

人は何度でも生き直せる――この信念で走り続けた涼がその先に見出したのは、自らが手を差し伸べてきた人や町に支えられ、新たな生へと踏み出す自分自身の姿だった。

作品によせて

作者・相良敦子

人の心には、生きるエネルギーがあると思う。1を10にするエネルギーではない。0から1へと生き直す途方もないエネルギーだ。切れた絆を取り戻し、後悔や憎しみ、懐かしさや切なさ、ありとあらゆる感情をのりこえ、苦境や孤独から新しい一歩を前へと進める、これは、そんなすべての人間たちに備わった力強い再生のエネルギーの物語かもしれない。

思えば、十数年前私も、地域福祉に思いっきり支えられ、家族と共に父を在宅介護で看取った。父とウマが合わず早くに実家を出ていた私には、そのような時間を過ごすなど想像もしてないことだった。それが、あの夜も昼もなく続いた介護の月日は、私にとって父との絆を再生させるかけがえのない時間になった。数日しかもたないと言われた父も、頑張って二年間の生を全うした。人生とは、そういうものなのだとしみじみ思う。

誰もに小さく心あたりがあり、しかし、口にはだせないたくさんの感情を、この全9話のドラマに添えてみたい。そして、主人公自身が「自分」を乗り越え未来に明るい光を見るとき、人を信じ明日を信じる勇気が、ご覧頂くみなさまの心にも届いていたら、と心から願っている。

素晴らしいスタッフ・キャストの皆さんとご一緒しています。ぜひご覧ください。

演出にあたって

演出・伊勢田雅也

人として頭の下がることを当然のようにする人を、主人公として描くのは難しい。どこか遠い人のように思えるからです。この福祉に関するドラマを作り始めてまず感じたことはそのことでした。色々と考えて、人として頭の下がることをする人にも、そうすべき個人的な理由があってもいいじゃないかということに思い至りました。極めて個人的な理由のために、他人をどこまでも助けようとする、そういう人の方が、感情移入しやすいのではないか。その思いがこの物語の土台になりました。第一話の収録中、香川京子さんは、「この話、本当に悲しくなっちゃう」と何回か仰っていました。ドラマの基本のようなドラマができたのではないかと思っています。

制作にあたって

――他の誰でもない、私たちひとりひとりの物語として

チーフプロデューサー・陸田元一

サイレント・プア――「声なき貧困」、あるいは「見えない貧しさ」。日本におけるコミュニティ・ソーシャルワーク草分けの地、大阪府豊中で取材を始めたのは半年以上前。そこで、現代における貧困は単なる経済的貧しさを意味しない、地域における孤独や弧立こそ、新しい今の時代の貧しさなのだ、と教えられました。思えばかつては今ほど物質的に恵まれていなくとも、町や暮らしはもっと豊かであったように感じられます。

そして人のこころも、また――。

サイレント・プア、それはほかならぬあなた自身かも知れません。他者に手を差し伸べ続けるヒロインも、です。いまは涼が愛する町と人々に抱かれ、一刻も早く心安らかな日々にたどり着くことを願っています。

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