早朝5時30分、キングス・クロス駅に集合。
今日で本隊スタッフは帰国の途につき、少数スタッフだけで伊勢谷君とロビン役のエドとともに“ベントレーの旅”の舞台であるヨークシャーへ向かいます。

キングス・クロス駅はイギリスの主要鉄道幹線の1つであり、グレート・ブリテン島の東側の大動脈イースト・コースト本線の南の終着駅で、映画「ハリーポッター」の舞台としても有名な場所です。

6時30発の列車に乗り一路北へ、30分ほど走ったところで車窓から朝日が差し込んできました。もうすぐ夜が明けるな…と思ったままウトウトと夢の中へ。

9時、リーズ駅に到着。ここからマイクロバスに乗り換えさらに北へ。
だんだんとビルが消え建物がほとんどなくなり、見渡す限り牧草地の景色が広がってきました。

簡単な昼食と支度を済ませ、いよいよ撮影開始。
二人の旅の記憶をより印象的なものにする為、撮影はハイビジョンカメラではなく16mmフィルムを使って行いました。
普段と少し勝手が違うカメラですが、佐々木カメラマンは楽しんでいるようです。
スタッフとカメラが乗り込んだ牽引車にベントレーを連結し、次郎とロビンが乗り込んでいよいよ出発!! いってらっしゃーい!…って、あれ?
そうなんです、牽引車の乗車人数に制限がある為、僕は居残りでお見送り。

雲の影が緑の草原に落ち、常に移り変わるヨークシャーの風景。聞こえるものは風の音と、たまに羊の声「メェ」。
ベントレーの帰りを待つ時間など忘れて、目の前の風景に見入っていました。

と、遠くからエンジン音。
ベントレーが帰って来た!…と思ったら青いクラシックカーが坂を上ってきます。
お洒落な老紳士とご婦人が颯爽と手を振って走り去って行きました。さすが英国かっこいい!

走行シーンの撮影を終え、別の場所に移動。次は沈む夕日を見つめる次郎とロビンを狙います。
見渡す限りの地平線。しかしながら夕日のポイントは厚い雲で覆われ、太陽が出るかは運次第。

カメラをスタンバイしたまま、皆が固唾を飲んで見守ります。
今日はもうだめか…誰もが諦めはじめたその時!
「出てきたぞ!カメラを回せ!」英国助監督のジェリーが叫びます。

荒涼とした大地が、太陽の出現により一瞬で別世界へと変貌していきます。
イメージを遥かに越えたドラマの世界の出現に、そこにいる全員が夕日に顔を照らしながら子供に戻ったように歓声をあげていました。
白洲次郎という人間を育んだ英国の大地。これから白洲次郎を演じる伊勢谷君にとっても今日のこの夕日は“遥かなる英国の原風景”として心に残ったのではないでしょうか。
