NHKドラマ フェイク 京都美術事件絵巻

ドラマのみどころ

【ドラマのみどころ】

 どんなに高級な額縁に入っていようとも、どんなに汚れた部屋に埋もれていようとも、正確にその美術品の価値を見出すことのできる"目利き"、その名は、浦沢右(ゆう) 。

 古今東西の美術品の価値を知りつくした右が、美術品に隠された真実から、事件の真実を見つけだす!

 テーマは'美'と'人間'の裏表。舞台は国宝級の美術品が集まり、日本の伝統が息づく千年の古都・京都。

 ドラマ10枠では初めての1回読みきりのミステリードラマ仕立てで、美術品の真贋を通して、美術にまつわる人間模様の様々な機微を描く―。

脚本執筆にあたって…脚本家 岩下悠子

 京都を舞台にミステリー脚本を書いて7年。打ち合わせ後は毎回、気ままな寺社巡りを楽しんでいました。『造り人知らず』の仏像や建物を見ていると、宮沢賢治の詩に描かれた、「億の巨匠が並んで生れ/しかも互ひに相犯さない/明るい世界」のイメージが胸に広がり、過去と未来がなにか無垢なもので直結しているような安堵を覚えます。

 『フェイク』の主人公・浦沢右も、心の底では世界の無垢さを信じている人物かもしれません。

 そんな彼女の内面が、さまざまな事件や人間関係に揺さぶられる中でどう孵化して行くのか、顫(ふる)えるような高揚を感じながら執筆しました。

制作にあたって…制作統括 安原裕人(NHK大阪)

 「骨董」という言葉の語源はしかと分からないそうで、希少価値のある古美術品という意味と古いだけで役に立たないがらくたという正反対の意味を併せ持つ。

 その骨董に数年前にはまった。殺風景な日常に彩りをと思ったのが間違いだった。魯山人がまだ貧しくおかずに豆腐しか買えなかったとき、その豆腐を紅切子の器に盛って食したというエピソードに、そうかと膝を打ってしまった。最初にネットオークションで偽物をつかまされそのあともしばしば失敗を重ねているが、熱は下がってくれない。骨董の持つ魔力は、そのいかがわしさ妖しさで増幅される。魔界がなければ仏界がないように、ニセモノなくして本物はない。目利き…骨董好きのビギナーはその言葉の甘美な響きに憧れる。

 というわけで、ヒロイン浦沢右は、天才的な目利きだ。そして、この作品では、キャスト、スタッフ、シナリオ、様々なところで小さなチャレンジをしている。そのチャレンジがお互いに響き合い、作品の魔力にまで発酵、熟成したと極めを付けさせていただく。

 新作オリジナルの43分間、是非、ご鑑賞ください。

制作にあたって…制作統括 手塚治(東映)

 京都を舞台に、刑事や新聞記者や科捜研の活躍を描くドラマを作り続けて十年以上が経つ。撮影の合間には折角京都に来たのだからと仏像を拝観し、庭園に佇み、美術館で壺を眺めてみたりもする。成程これは素晴らしいと思うこともあるが大抵はその価値がよく分からない。『美』ってなに?

 そんな劣等意識から、いつかこの『美』の古都を舞台に『美』に翻弄される人たちのドラマを作りたいと思っていた。美術に関する天才的審美眼を持つヒロインが事件を解く物語。きっと人間嫌いに違いない。そして美術のことを全く理解しない女刑事と相棒になる。でも似た者同士。そんな物語を。

 今回、NHK大阪さん、財前直見さん、南野陽子さんとの幸福な出会いを得て夢が実現する。この作品が素晴らしいものになることは審美眼のない私にも分かります。ご期待ください。

演出にあたって…演出 大原拓(NHK大阪)

 女性版「コロンボ」の誕生である!

 サスペンス、事件、エンターテインメントドラマでこんなに魅力的な主人公はいただろうか!?その魅力を表現すると「変」、いや「かっこ悪い」、と言うより「普通」、でも「刺激的」。何だかよくわからない魅力だが、いつの間にか彼女の独特な世界を楽しんでいる自分がいる。

 主人公演ずる財前直見さんの衣裳合わせ。今回はかなり変わっていた。「かっこよすぎる」「綺麗に見えちゃう」は全てNG、「かっこ悪い」「ダサい」「こんな人いる!?」「どこで買うのその服?」がOK。

 この主人公を、京都の美しい風景と美術品に絡からませたのが「フェイク」である。古寺名刹は勿論、絵画・浮世絵・茶道具・陶器等々、滅多に目にすることの出来ない本物の美術品の数々が登場します。その美術品に関わる事件に隠された真実を、粋に艶やかに暴く浦沢右。極上のエンターテインメントドラマを満喫していただけること間違いありません。

 ようこそ、「浦沢右ワールド」へ。