脚本家のことば…矢島正雄(脚本家)
かつてNHKには、「人間模様」という視聴者の心を揺さぶる名作ドラマ・シリーズがあった。私の勘違いだろうが、NHKの名作ドラマは、全て「人間模様」だったと記憶してしまうほど強烈なイメージを持っている。民放でも同じようなドラマ・シリーズがあったらいいなあ、といつも考え提案もしたのだが、まだ私も若く、そんな企画は仲々通らなかった。まず、企画意図が「人間模様」の一言に尽きるから説明に困るのである。「人間の心ってスゴイですよね、それを書きたいんですよ」ますます相手には通じない。テレビで書けないなら新しいメディアで書けないだろうか?そんなとき、知り合いの編集者が劇画のシナリオを書かないかといってきてくれた。「何んでも、書きたいもの書いていいよ」と、いってくれた。「人間模様」と即答した。劇画「人間交差点」は、そこからはじまり、10数年連載され、連載終了後20年近くになる今も売れ続けている不思議な劇画となった。テレビ・映画の映像世界にも何度か里帰りはしているものの、今回のように三回連続という形が可能になったのは、内海隆一郎先生の「翼ある船は」の素晴しい登場人物たちに参加していただけたからに他ならない。これまた不思議な「人間模様」が出来あがる予感がする。
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