時代劇通のオヤジ(1) 「あの遠山の金さんが出るんだって!」
同オヤジ(2) 「それより、何で町人が武士になれるんだ?!」
テレビ離れのオタク 「そんなのどうでもいいじゃん、ノリはいいの?」
ワイン好きのセレブ 「ホントにオトコマエなの?」
プロデューサー(以下、P) 「はっきし言って、このドラマは"オタクさん"支持でやっております。土曜夜の7時半の30分枠ですから、堅いことは言いッこなし! 半分現代劇、半分バラエティーのつもりで作っています。サスペンスからコメディーまで、何でもアリの土曜時代劇! なんです」
オヤジ(1)(2)(声そろえ) 「オレたちは、お呼びでないのかい!」
P 「いえいえ、滅相もない! まずは短いのりとを、お聞きあれ。
――時は1840年、明治維新まで、あと30年の浮き世です。花のお江戸に、お奉行所が南北二つあって、お奉行様も二人いて、北のお奉行様が、ご存知! 庶民の味方"遠山の金さん"こと遠山金四郎。 対する南のお奉行様が、庶民の怖がる鳥居耀蔵で、人気の金さんを潰そうと、あらん限りの秘策を仕掛けてきます。これを 「てやんでえ!」と真っ向、粉砕しちゃうのが、主人公の藤堂逸馬と、大親友の武田信三郎、若い二人のオトコマエ!
――ってえ、お話し」
オヤジ(1) 「金さんと妖怪の対決、悪くはないな」
オタク・セレブ(声そろえ) 「妖怪って、何それ、特撮?」
オヤジ(2) 「鳥居のことじゃ(と自慢)。それより若い衆二人は、どんな男だ?」
P 「逸馬は、金さんの新米の部下で、刑事の調書を調べて判決文のもとを書く仕事です。『吟味与力』と言います。逸馬は実はもと町人で、その気概を望まれて藤堂家の養子になっただけに、立て前に屈せず、本音で勝負。何があっても弱い者の味方なんです」
オタク 「スーパーマンだ」
P 「そうです、スーパーマンです。彼はクラーク・ケントと名乗り……ン? いやいや、違う違う! そうじゃない。無我夢中、何も考えずに空を飛ぶから落っこっちゃう、おっと、また間違えたじゃないか。何も考えずに突っ走るから、鳥居の罠に落っこっちゃうの! そんな天衣無縫、破天荒な逸馬を、武田信三郎が支えるんです。仕事は最高裁の調査係、『評定所物調役』」
セレブ 「逸馬の福士誠治くんは、マゲのよく似合う子ね。信三郎の斎藤工くんは立ち姿がいい子なのね。仕事半分の時は逸馬にエスコートさせて、遊びの時は信三郎をはべらせてみたいわね」
P 「一見で、よくぞお分かり! 仕事は堅いが遊びは早い信三郎、アフター5は着流しの一本差しを『落とし差し』にして。先に言っちゃえば、御家人にあるまじき格好させています。でアッシもぜひ、おそばに」
オヤジ(1) 「何言ってんだ!! う〜ん。お主ら、NHK時代劇の殻を破ろうって、魂胆と見たり!」
P 「左様でござる」
オタク 「二人で、なに遊んでんのよ!」
P 「こりゃ、また失礼しやした。ご免なさい。話しを戻して。遠山の金さんとワケありの料理屋の女将、佐和を井上和香さんが演じて、クラクラッときちゃう、いい女なんです。私だけじゃなく、逸馬まで一目惚れしちゃう」
セレブ 「悔しい〜!」
オタク 「こっちの若い子は?」
P 「鳥居奉行の密偵を務める謎の女の子、茜ちゃんこと、新人の近野成美くん、どうぞ可愛がってやってください」
オヤジ(1) 「可愛いと言えば、信三郎のおっかさんは、可愛い可愛いアイドルじゃった。風呂屋の屋根の上でな……♯♭(と歌い出しかねない)」
P 「はいはい、左様でございます(と歌うのを止めて)。その浅田美代子さんは、今回はキリッとしていて、どこか気持がなごむお母さんの役です」
セレブ 「ワイン・バーの藤村俊二さんがご出演あそばされておられますが、うふ、ワイン出るのかしら?」
P 「幕末近いんで、嘘してピストルは出しましたが、さてワインはどうだったかしら。見かけで『水戸黄門も出るの!』なんて言われる、寺子屋の師匠『仙人』をオヒョイさん(ギョーカイでの藤村さんの愛称)がやっぱり飄々と演じています。のう、スケさんカクさん、あ、はッはッはッ」
オヤジ(2) 「おっと、ここで、"葵の御紋"ときたか。なら、遠山の金さんって言やあ、桜吹雪だぜ。彫りモンは見せるのかい?」
P 「これは、柴田恭兵さんの演技プランのポイント、ヒミツです。最終回まで見ないと分かりません」
オヤジ弐 「やはり、そうきたか……見るしかね〜か」
オヤジ壱 「この、千代丸ってのは何者じゃ?」
P 「よくぞ聞いてくださった。千代丸は鳥居が可愛がる白い仔猫。仔猫を抱いた片岡鶴太郎さん、その悪役ぶりが何ともチャーミングで、必見です!」
一同(FDの 「キュー」が出て) 「う〜ん、見てみた〜い!」