【作家のことば…西荻弓絵】
故郷というのは、私にとっては今も鬱陶しいものです。
思春期の頃は、地元がダサイという事実に気づき、実家のセンスも最悪ということに気づき、真面目にショックを受けたものです。そして早くここから逃げ出したい。お洒落なドラマに出て来るような生活空間を手に入れたい。いつまでも地元にいる人間なんて負け組だ!などと真剣に思ったものです。
でも、ひょっとして・・・と思うのです。本当の幸せって、どういうことなのだろう?と。
お洒落でセンスのいいものに囲まれていなくても、リッチでなくても、近くに便利なコンビニがなくても、何の不満もなく、コツコツと働き、その日を無事に過ごせることに感謝して生きている故郷の人たちを見ていると、ふと、こう思います。もしかして、彼らこそ、「人が幸せに生きるコツ」を知っている、人生の達人なのではないか、と。
「人が幸せに生きるコツ」というのは、ちょっとした気の持ち様なのかも知れません。
人間、ちょっとした気の持ち様で、今まで退屈だと思っていた毎日が輝いて見えたり、嫌いだと思っていたものがいとおしく見えたり、迷惑だと思っていた人間関係が有り難いものに思えたりするのではないでしょうか?
故郷が大嫌いで、「納豆屋の娘」と呼ばれることが、何より嫌いだった主人公に、あるとき人生を揺るがす大事件が起きます。その中で、故郷に生きる人々から、「幸せに生きるコツ」を学び取り、たくましく成長して行く・・・そんなドラマになったら、と思います。 |