今回は、東野圭吾さんが書いた原作をこれだけ崩してしまって、大丈夫なのかなぁっていうのが実は一番心配でした。だからね、一番怖かったのが東野さんに会うこと。(笑) 東野さんはですね、しのぶセンセのこの格好を見る前にレナ王女を最初に見たんでね、 「あれ、俺の話と違うジャン」って絶対思ったんじゃないかな。 ま、監督はじめ出演者一同みんなびくびくしてたんですけど、「楽しそうだね」って言ってくださったので、全身の力抜けたって言うか、「あぁ良かったぁ」って、思いましたよね……

そしていざ、現れた東野先生はダンディーで都会的な、本当に素敵な方でした。

 

(M・・・山田まりや/H・・・東野圭吾)

M.しのぶセンセの姿でお会いして、ちゃんとお話をうかがうのは初めてなので、しかも 先生の作品の主演を務めさせていただいたと思うとどきどきしちゃうんですけど、

.自分の作品が映像化される時は「どんな風に作る側の方がイメージして、作品で遊んで下さるか」をいつも楽しみにしてますんで、まぁこういう感じで遊んだんだな! という感じで(笑)

M.(笑)でもどうですか? 太極拳の「た」の字もでてこないのに、こんなかっこうして、 違和感ないですか?

.たしかに原作とはちがうけれど、でも自分のなかにあるしのぶセンセのキャラクターから考えますとね、やりそうだなっていう気はしますよねっ。 

 

.もともとウチの姉が小学校の教師なんですよ。昨日までの「ウチの姉ちゃん」が突然、 小学校の先生になってしまうわけですよね。それはもう…これ、大丈夫かなッていう世界でしたからねぇ。

M.あれっじゃぁ、原作のもとになったのはお姉さんが、きっかけですか?

.まぁ、モデルっていうほどではないですけどね、身近で普通のお姉ちゃんが先生になっていくっていうのを見てましたから。

M.やっぱふしぎなかんじですかぁ

.不思議っていうか、あの…いいかげんなもんだとおもいましたけどね(爆笑)

 

.『浪花少年探偵団』って今までよく映像化されずに残ってたなぁって思うんですよ。 本当に残ってくれててよかったなって!

.結構、企画のお話はいただいてたんですけどね、やっぱりひとつには肝心の『大阪』っていうのをね、「出すか出さないか」ですよね。やっぱりこれは大阪を舞台にしてやって欲しいというのが、こちらの希望としてありましたので、それで今まで話としては消えてしまったんですね。でも今回は『大阪』だからやるという雰囲気が伝わってきましたんで、非常にありがたく思ってます。

.また監督の大橋さんが、話が上手だったでしょ。

.ええもう…気がついたら契約書にサインしてましたね!(大爆笑)

.あははは! それ、なんか変な勧誘みたいじゃないですか!

 

.準備をやっていくうちに、大阪どんどん好きになって、その『好き』のパワーが、がぁーって高くなった時に撮影したっていうか、3ヶ月間ですごく大阪大好きになりました! あたしたちはNHKから自転車で行ける範囲のところを舞台にして撮影していましたけど、先生はどこを舞台に考えていらっしゃったんですか?

.やっぱり自分が生まれ育ったところですね。大阪の生野区っていうところなんですけど。近所の街を大体イメージして。 自分も大阪はなれてもう二十年くらいなるんですけどね、『浪花少年探偵団』を書いていた当時でも10年になろうとしていたんですけど、 どっちかっていうと今の大阪がどうなっているかとかあまり考えないで、自分の思い出の場所だとかをイメージして書きましたね。でも現実にはね、そういったディープなところは、そんなに変わってないんですよね、今も。やっぱり。ディープなところはディープなままなんですよ。

.(うなずく)大阪の人って、屋台いってもお客さん同士がすぐ仲良くなっちゃったり、あと、子供も大阪弁を喋るんだけど、それが妙に大人っぽいですよね。

 

.大阪ではね、いわゆる幼児語だとかね、子ども向けの言葉ってのがないんですよね。 おじいさんも親父も僕も、みんな同じような言葉を喋ってる。だからその間に世界の切れ目っていうのを作りにくいっていうのがあると思うんですよね、おそらく。そのかわり、子供は早く大人の『裏』も知りますから、言葉遣いだけでなく、言う言葉もひねてきますけどね!(笑)

.そう、なんかぜんぶ大人っぽいなぁと思ったんです。出演してる田中とか原田とか、 親父みたいで(笑)

.僕も撮影で1回だけ撮影にお邪魔した時に、探偵団のみなさんにもはじめて会ったんですけどね、本当にこちらから敬語を使ってしまうくらいで。原田の役の子に話をしてるとね、なんか寄ってきてね、「今夜、呑みに行きましょう!」とか言ってくるんですよ!

.あははは! おもしろ! 「あんた、いくつなんだって!」

.おもわずこっちはねぇ、「いやぁすんません、今日はちょっと用事が…」 M.勘弁してください、みたいな H.丁重にお断りしましたけどね!

.部長と部下のやり取りみたいな感じですよねぇ。はじめて、会った時にあたし嬉しくなっちゃって。原作読んでいろいろイメージしてたんですけど、子供見た時に「決まったな」って思ったんですよ。なんてわかりやすいんだって。

.この小説書くときにですね、決して「子供の探偵団が活躍するだけの話にはしないでおこう」と、ただし「大人の世界にただ子供が首突っ込むだけの話にもしないでおこう。」 どっちもどっちの飾りじゃないって事は、すごく心がけたんですよね。だからそれがドラマでもうまくね、活かしてくださったとしたら有難いですよね。

 

.これを見たら、いろんな地方の子が大阪に憧れを持つと思うんですよね。それはやっぱり人情とか…。大人の中に慣れ親しんでいる大阪の子供たちは、大人の感情の捉え方を、日常生活の中で自然と身につけているんだなって思います。あと自己主張が強い?かな。 商店街の看板とかも派手だし。

.そうそう。たぶん考え方がシンプルだと思うんですよ。おそらくね、底辺にはね、 「それで一体なんぼ儲かんねん?」というのがある。

M.あはははは! うんうん。

.つまりね、「目立てば客は来るだろう、だから看板デカくしよう」 だけど「ここまですると格好悪いな」っていう発想が普通はあるんだけど、そこで大阪人は「格好悪いからって、損するのか?」と考える。 M.うんうんうん。 H.「格好悪いからって金払わなきゃいけないのか?」「金払わなくっていいんだったら、 格好悪くてもいいやん」そういうバイタリティというか割り切りがあるんですよね。

.そういう先生も…

.ありますね!

 

このあと対談は、思わぬ方向に暴走していくのですが、今日はここまで!
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