「贅沢な歳月を、どうぞ。」…制作統括・菅野高至
この五月、作曲家の川崎真弘さんが亡くなりました。人間を細やかに深く描くこのドラマに、もし川崎さんの音楽が無かりせば、かくも皆さまに愛されてパート2から3へとつながらなかったと思うのです。時に激しく強く、時にあたたかく優しく、そして何より、あの透明感あふるる命への祈り、神への祈りにも似たあの音楽無くしては、と思うのです。川崎さん、ありがとうございました、ご冥福を、お祈りいたします。
パート1の時に、このドラマは「人々が人生の相方、パートナーを探す物語です」と申し上げました。パート2から3へ、このテーマは変わりません。登場人物たちそれぞれが、人と人との繋がりの中に生かされている、そう感じて物語を生き続けます。
今回、脚本づくりの当初、脚本家の宮村優子さんが「果たして、人は人を本当に救えるのだろうか?」というテーマを立てました。その答えは、ご覧になって頂ければ分かるのですが……「人は、人と人の繋がりの中で救われる」……です。パート3も各回、実り豊かな素敵な宮村脚本となっております。
そして、三年の歳月が流れました。高橋英樹さんはより隠居らしく、石橋蓮司さんはより飯炊きらしく、お二人の掛け合いはまさに"名人芸"であります。蝮を楽しんで演じきる奥田瑛二さんは、高岡早紀さん(第4回)と石田えりさん(第8回)とそれぞれ愛の競演です。妻となり母となった安達祐実さん、(第7回を除き)各回出番が短うございます、どうぞ、皐月の美しさとお芝居をお見逃し無きよう。比留間由哲さん、晃之助と「可愛い女」(第5回)のラブシーンがあります。遠藤憲一さん、辰吉も深化しましたが、お芝居、円熟味を増しました。かたせ梨乃さん、ますます艶やかなお登世が、恋する女(第2回)と母たる女将(第9回)を演じ分けます。
そして、仏の慶次郎が人を救えるだろうかと悩む"パート3最強の敵"は、新鋭のパク ソヒさんと異才 塚本晋也さんのお二人。第1回「峠」の完結編が、最終回「峠の果て」になっております。
原作小説を読み直すたびに、作家の北原亞以子さんが描く人間に感動し、物語の奥行きの深さに感謝する思いが新たになるのです。
三年の歳月を重ねて、パート3はいっそう熟成して、それはそれは贅沢なドラマとなっております、どうぞ、ご堪能下さいませ。 |