制作の言葉『新たなエピローグを、どうぞ』…菅野高至
ある日ふと怖ろしい(?)ことに気付いたのです。脚本、演出、私、三人が同い年の1946年生まれでした。いつも何か余っている感じの団塊世代、その端くれです。
かつて脚本の竹山さんと「清左衛門 残日録」(藤沢周平原作、仲代達矢主演、93年4月〜放送)でご一緒しました。二人とも<隠居>には遠く、理想形でしか<老い>を描けなかったのですが、それが逆にお客さまにお気に召して頂いた理由となりました。
今回、三人が揃うと一頻り、躰のパーツが故障した話になります。そろそろ<人生の始末>も気になり始めています。勿論、その遠近感は三人個々に違うのですが、その違いをも含めて登場人物に託して、「もう一つの『清左衛門 残日録』を描きたい」、そう思ったのです。こうして原作の終章に、二年後の<新たなエピローグ>が加わったのです。
この企みに、それはそれは素晴らしい俳優の皆さんに集まって頂きました。佐藤浩市さん主演は私の夢でした。仇役のお二人、遠藤憲一さん、仲村トオルさん、熱い熱い芝居です。藤沢作品の女性は一種独特、涼風真世さん、平淑恵さん、石田えりさん、皆さんがパーフェクトです。蟹江敬三さんならではの孫助です。そして福士誠治さん、高岡蒼甫さん、パワーあふれる若者たちの、絶妙な青春ドラマも楽しみな仕上がりとなりました。
作曲家の岩代さんの玉手箱から、ジャズボーカルのケイコ・リーさん、バンドネオンの小松亮太さん、バイオリンの宮本笑里さんが加わって、素敵な音楽が響きます。
あの世の藤沢周平さんにも楽しんで頂く……、折々そう念じて作品を作りました。どうぞ、ご期待下さい。 |